近所づきあいが希薄している、と言われて久しい。事実、この調査でも地域社会とのかかわりについて「生活面での協力」や「家族ぐるみの付き合い」をしている人は、全体で11.4%にとどまった。最も多い60代女性でも16.6%と少なく、希薄な関係が浮き彫りに。
その一方、今後、誰と関係を築いていきたいですかと聞いたところ「地域や近所・近隣(今付き合いのない人も含む)」(52.6%)と答えた人は半数を超えた。また「街で困った人を見ると手助けしたい」と答えたのは、震災前の自分の気持ちは55.8%だったのに対し、震災後は70.0%に。生活圏の人々への協力を惜しまない姿勢がうかがえた。
「この調査結果からは『広範囲で協力』というキーワードが浮かび上がった。『手助けをしたい』というときには、家族や友人など身近な人をイメージする人が多いと思う。しかし身近な人だけでなく、少し外側の人たちにも協力することが大事なのではないか、といった意識が見られた」
最後のキーワードは「次世代志向」。例えば日々の生活について、今が快適に暮らせればよいというわけでなく、未来を視野に入れて行動する人が目立った。ただし遠い未来というわけでなく、子どもや孫のことを考えるという人が多い。
また震災後、大きな問題となった電力への関心も高まっている。震災前に「エネルギー問題を家族で話す機会が増えた」という人は20.2%だったが、震災後は56.1%。
「世代間の不公平感は震災前から続いている。例えば年金問題は、世代間対立といってもいいだろう。しかしエネルギー問題については、未来にかかわること。遠い未来の人類の話ではなく、次の世代に対する意識が強まっている。これは世代間対立というよりは、次の世代に対して、自分たちはどのように貢献すればいいのか。このことに注目が集まっている」と説明した。
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