沓名さんが想定した出店エリアは、日本全国の商圏人口※15万人以上の地方都市の基幹ロードサイド。1500〜1800坪の用地、600坪の建物、200〜300台収容可能な駐車スペースを確保でき、3000人および2500人の会員を確保できると判断する場所だ(来期以降は商圏人口10万人以上、会員2000人のモデルを強化予定)。
そうしたエリアにおける顧客ターゲット層は、競技を目的とせず、健康増進を願うスポーツ初心者(あるいはスポーツ嫌い)の大人たちである。昼間は主として主婦層やシニア層、夜間は仕事を終えたビジネスパーソンたちを対象にしている。
料金的にも、平均月額6583円で、既存各社と比較すると15〜20%程度安いというから、確かにハードルは低い。
しかし、スポーツクラブは入会者が多くても、あっという間に幽霊会員になったり、短期間で脱会したりする会員も多いのが難点だ。
「スポーツ初心者やスポーツ嫌いの方々をターゲットにするわけですから、そういう方々でも付いていけるよう、そして、そういう方々でも長く楽しめるよう、エンターテインメント的な要素を中心に考えて、スタジオのエクササイズプログラムやジムのマシーンなどを用意しています」
10月からの新しいエクササイズプログラムは、「Be a Dancer」(次画像)という名前で、世界のミュージックチャートを賑わす楽曲に合わせてダンサーになり切り、踊りまくるというもの。ファッションや振り付けはレディ・ガガを意識しており、ストリートダンス世界大会での優勝経験を持つ東祥の社員(奈良店店長)が考案し制作したものだという。
告知開始後あっという間に定員オーバーという好評ぶりとのことで、熱気渦巻くスタジオの情景が目に浮かぶようだ。
しかし、お客は移り気だ。すぐに新しい刺激が欲しくなる。それに応えないと、そっぽを向かれてしまう。
「弊社では入社3年目から実績とやる気次第で店長になれるシステムになっており、全国の若い店長たちが月に1回、店長会議を開き、対等な立場で自由に議論しています。この会議ではそれぞれの土地のお客さんの動向などについて情報を共有しながら、潜在ニーズ(Wants)がどこにあるかを探索し、それを新しいサービスに結び付けていくようにしています。ニーズが顕在化してからでは手遅れ! いかに潜在的なニーズを発見し、それを具体的なサービスとして提供できるかが勝負です。『Be a Dancer』も、そうやって提供したからこそヒットしているのです」
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