スポーツクラブ経営で営業利益率22.6%、高利益率の秘密とは?嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(2/6 ページ)

» 2011年10月21日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

従来見向きもされなかった市場で“ニッチャー”としての地位を確立

 東祥の戦略は、スポーツクラブ業界の中でも異色だ。「業界の市場規模は人口の3%で常に一定している」と言われることもあって、既存の大手各社は、人が多く集まる大都市圏の駅前を中心に大型店を展開し続けてきた。

 それに対して東祥は、既存大手が見向きもしなかった地方都市の郊外の基幹ロードサイドにターゲットを絞って全国展開している。

東祥では地方中心にスポーツクラブを出店している(同社IR資料より)

 これまでの発想から言えば、人口の少ない地域に出店したところで、経営が成り立つはずがない。ところが、東祥は上記のような急成長と高収益を実現している。

 それが実現できたのは、東祥が既存大手各社に正面から挑戦するような戦略を避け、市場は小さい(ないしはほとんど存在しない)と従来思われていた立地に潜在需要の存在を感じ取り、そこにそれまでのスポーツクラブとは異質で独自な新しいサービスを創出することで、新市場を創造することに成功したからに他ならない。

 言うなれば、“ニッチャー”としての地位を確固たるものにしたということだ。

 「地方都市の郊外エリアには、従来、子どものための競技系のスイミングスクールがあるだけで、ジムは申しわけ程度に併設されているレベルでした。健康作りを目的に大人が楽しく通い続けるような環境はなかったのです。

 それまで、スポーツクラブ・ビジネスの経験はありませんでしたが、少子高齢化、健康志向という世の中の流れから言っても、地方都市の郊外にはシニア層を中心に、スポーツクラブに対する潜在需要が存在するはずだと確信しました。それで、周囲の反対を押し切って、1996年に新規参入を果たしたのです」

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