コラム
» 2011年10月21日 08時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:EVのバッテリー交換ビジネスは成功するのか (1/3)

EV(電気自動車)普及のカギは、やはりバッテリー。フル充電に何時間もかかっていては「いざ」というときに、不安を覚える人も多いはず。そこで「バッテリーをそのまま交換する」という実験が行われているが、メーカーからは疑問の声も出ている。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 このほどデンマークの首都コペンハーゲンで、同国初となるEV(電気自動車)のバッテリー充電交換ステーションが実証実験を開始した。「充電に時間がかかり過ぎるならいっそフル充電のバッテリーと交換してしまえばいい」。実にシンプルで理にかなったアイデアではあるが、欧州のEVメーカーは先行きに否定的な声が強い。

交換は簡単

 事業を始めたのはEV用インフラ整備を目的として2007年に設立された「Beter Place(ベタープレイス)」社。交換ステーションは例えるならスタンドの自動洗浄機に似て、クルマを所定の位置に停めればあとは全自動でバッテリーが交換される。

 具体的な利用方法はこうだ。

(1)交換ステーションの入り口にあるセンサーにチップカードをかざすと、クルマが認識されゲートが開く。

(2)前へ進みギアをニュートラルに入れると、車体はレールの上に乗り所定の位置へ運ばれる。

(3)バッテリーユニットは車体下部に取り付けられている。下からクレーンがせり上がり、バッテリーユニットを取り外して地下の充電ポジションに運ぶ。

(4)クレーンにフル充電のバッテリーユニットが乗せられ、車体下部に取り付けられる。

(5)レールに乗った車体が交換ステーションの出口まで運ばれる。

 運転者はクルマから降りる必要がなく、一連の行程は5分で終わる。ベタープレイスのシステムは特にルノーのセダンEV「フルエンスZ.E.」を対象としたもので、ルノーが近い将来の充電スタイルとして思い描くシステムでもある。

 利用者は原則として、まずフルエンスZ.E.を購入する(現在価格はおよそ2万8000ユーロ〈約295万円〉)。同時に約1350ユーロ(約14万円)の入会金を納めてバッテリー充電交換ステーションの会員となる。電力消費量とバッテリー交換の回数に見合った料金が発生し、例えば年間1万5000〜2万キロ走るなら月々の料金は約250ユーロ(約2万6000円)になるそうだ。

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