「ベージュブック」の弱気見通しや欧州首脳会議への警戒感から軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年10月20日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8772.54△30.63

<TOPIX>751.49△0.25

<NYダウ>11504.62▼72.43

<NASDAQ>2604.04▼53.39

<NY為替>76.82△0.01

「ベージュブック」の弱気見通しや欧州首脳会議への警戒感から軟調

 前日の引け後に発表された決算も好調な決算よりも悪いところばかりが協調される格好で売りが先行となりました。それでも、朝方発表された住宅着工件数が予想を上回ったことやこの日発表された金融機関の決算も好調となったことからダウ平均は堅調な推移となりました。ただ、午後にベージュブック(地区連銀経済報告)で弱きな見通しが示されたことや週末の欧州首脳会議での金融不安解決が困難との複数のコメントが伝わったことなどから手仕舞い売りや見切り売りが嵩んでダウ平均は軟調、ナスダック指数は大幅下落となりました。

 悪材料には敏感な反応、好材料への反応は鈍いという状況で、前日の住宅価格指数やこの日の住宅着工件数が好調なこと、つまりこれまで懸念されていた住宅指標に明るさがみられていることが無視されているような感じです。また、好調な決算を示すものへの反応や影響もほとんどみられず、まだ市場では悲観的な見方が強いということでしょう。それでも売り急ぐ動きも限定的となっており、欧州金融不安や中国などの景気鈍化懸念が薄らげば、好決算銘柄などを見直す動きとなってくるのだと思います。

 個別には前日の引け後に期待されたほどではなかった決算を発表したアップルが売られて大幅下落、逆にインテルは好調な決算を発表して大幅高となりましたが、アップルに連れてHP(ヒューレットパッカード)やシスコシステムズなどが売られてハイテク銘柄は軟調なものが目立ちました。欧州首脳会議に対する懸念から金融株も売られ、バンク・オブ・アメリカは大幅安、JPモルガン・チェースやシティグループも軟調となりました。ベージュブックの弱気な景気見通しにも反応してアルコアが大幅下落、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)も軟調となりました。景気鈍化懸念や金融不安から商品相場も下落となったことで、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドが大幅下落、エクソン・モービルなど石油株も軟調となりました。ウォルマートやコカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブルなど消費関連は堅調となりましたが、引け後に発表されたイーベイの決算で収益見通しが慎重ということでイーベイ株が大幅下落となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や前日の大幅安の反動から買いが先行となったものの、米国市場の引け後に発表されたハイテク企業の決算が好調ではあったものの期待されたほどではなかったということから上値が重く、上値の重さを嫌気するように冴えない動きとなりました。外国人も金額は買い越しながらも株数は売り越しとはっきりしないことや手掛かりに乏しいことから買い難いという感じでした。

 米国市場は軟調となったのですが、日本市場は昨日の冴えない相場である程度下落は織り込んでいるものと思われ、軟調とはなるのでしょうが、為替の落ち着きもあり、底堅い展開は期待できそうです。円高基調が変わらないことで先行きの業績には懸念が残るものの決算発表を前に想定された以上の決算動向が示される企業もみられ、割安感が強まっているハイテク銘柄など押し目では買い直されるものもあると思われます。売買高も増えず、盛り上がりには欠ける展開ですが、逆に言えば売り一巡となった感もあり、売られ過ぎの修正も続くと思います。

 日経平均は8800円〜900円水準での上値の重さが確認され、現状の為替や海外動向では抜け切れないという感じです。逆に売り一巡感もあり、底堅さもみられ、8500円〜600円水準では売り急ぐよりは買える銘柄を探すというような展開になると思われます。引き続き円高の企業決算への影響を見極めたいという動きが続くと思われ、為替に大きな動きがなければ日中の値動きは相変わらず少ないと思います。

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