成功しそうでしない商売、ネットスーパーはどう運営するべき?郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2011年10月20日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

ネットスーパ−への疑問

 最初の疑問は「スーパーの商圏=ネットスーパーの商圏」でいいのか?

 10年前のネットスーパーブームでは、センターに在庫を置き、そこから配送するシステムで参入が多く、ロスも多くて利益は出なかった。それにこりて最近は“お店でピッキング”、つまり店舗内の販売商品を取り出して、近隣世帯に配送するサービスに変化した。「店がヒマなら行商せよ」のさおだけ屋方式なら在庫ロスもない。それでも、「人件費は店舗にもたせてようやく黒字」とも言われる。

 だが、ネットビジネスはリアルの商圏を超えるところにメリットがあるはず。単なる近隣配送サービスに過ぎないのでは、ハナっから存在に矛盾を抱えていないか。

 扱う商品にも疑問がある。ネットスーパーの売れ筋は米、油、水、ティッシュにおむつと「重い」「定番」「薄利」なのが特徴。「配送してほしいもの=売れるもの」となっており、家庭の必需品の欠品発注に使われている。これでは買い物の楽しさはゼロだ。

ネットスーパーの売れ筋は「重い」「定番」「薄利」

 想定するお客さん(=ターゲット)にも疑問あり。世の中に買い物難民、買い物弱者は確かにいる。だが、そこだけにフォーカスするのでは、小さく散在する市場の奪い合いでしかない。

 しかも、その市場にはすでに生協という巨人がいる。生協は個別宅配だけでなく、買い物バス、空き店舗活用の地域ステーション、移動店舗などさまざまな取り組みで先行し、個別宅配事業は9206億円(2009年度)と1兆円が目の前。全国津々浦々まで浸透する巨人に闘いを挑むのだろうか?

 ローソンは過疎が進んでいる広島県神石高原町の道の駅にコンビニを出店したところ、売り上げが極めて好調という実績があるという。そこでは買い物弱者救済というより、「田舎で都会のモノが買える」喜びがうけている。パスタやスイーツで成功したように、驚きのあるものを製造小売りで提供する方がローソンらしい。

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