コラム
» 2011年10月20日 08時01分 UPDATE

相場英雄の時事日想:“魔女狩り”ではダメ! 都の暴力団排除条例にひとこと (1/3)

今月、東京都で暴力団排除条例が施行された。一部のメディアは「タレントの○○は暴力団と密接な関係がある」と実名を挙げ、報道している。しかしこうした“魔女狩り”的な方向に傾くよりも、芸能界全体を浄化するほうが急務なのではないだろうか。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 10月1日、東京都で暴力団排除条例が施行された。多くの読者がご存じの通り、同条例の導入直前に有名タレントが暴力団関係者との交際を理由に引退。その後もさまざまな媒体を通じて芸能人と暴力団との関係に触れたニュースが流れている。だが、一連の報道は多分に“魔女刈り”的な方向に傾きすぎてはいないだろうか。個人よりも、芸能界全体の浄化が急務だ。

魔女狩り

 警視庁によれば、同条例の基本理念は「暴力団を恐れない」「暴力団に金を出さない」「暴力団を利用しない」「暴力団と交際しない」の4本柱だ。

 企業だけでなく、一般個人に対しても暴力団と接触しないよう強く警告。暴力団という存在自体を全滅させようとする警察当局の強い意向を映したものだ。

 同条例では、一般人であっても暴力団との交際や接触が継続的だと判断されれば“密接交際者”と認定される。その後は、銀行融資や当座預金の開設が不可能になったり、住居などの賃貸契約も制約を受けてしまう。

 密接な交際は、現在のものだけでなく、過去に遡って適用されるケースも出てきそうだ。現状、週刊誌を中心とするメディアが追いかけているのが、この密接交際者に該当しそうな芸能人を炙(あぶ)り出すこと。

 大物と呼ばれる俳優や歌手が一目でその筋だと分かる人たちと繁華街で飲食を共にしている場面を、筆者自身何度も目撃したことがある。暴力団の「威力」を利用しようと、彼らと積極的に交遊している芸能人が少なからず存在することも芸能関係者から頻繁に聞いている。

 こうした輩を擁護するつもりはない。こうした一部の芸能人を炙り出すために、週刊誌などの媒体が取材活動を活発化させているのは理解できる。ただ、こうした動きが先鋭化し過ぎると、確たる材料もなしに“怪しい”とのレッテルを張られる人たちが必ず出てくるのだ。

 また、芸能人本人が暴力団関係者との接触がなくとも、彼らが所属する事務所なりプロダクションが暴力団の実質的な傘下にあったり、巧妙に偽装された企業舎弟だったりするケースもある。

 実際問題として、所属する俳優やタレントはこうした実態を知らない場合も多々ある模様だ。同条例がどのように適用されるか、現段階では不明だが、実態を知らぬ向きまでもが“密接交際者”と認定されるようなことになれば、映画やドラマなどのエンターテインメントの制作現場は大混乱になろう。

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