売りが先行して大幅安、中国経済指標への反応は鈍い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年10月18日 16時34分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 昨日の大幅高の反動や米国株が大幅安となったこと、為替が円高に振れたことから売り先行となりました。米国企業もタイの洪水の影響を懸念して売られたことや中国の景気鈍化懸念も強まったことで大幅下落となりましたが、外国人が買い越し基調と伝えられたことやユーロが戻り歩調となったこともあり、寄付きの売りが一巡となると底堅さもみられました。後場に売り直されるような場面もみられたのですが、売り急ぐ動きもなく売買高が膨らまず閑散としたなかで指数は小動きとなりました。

 米国市場も「降れば土砂降り」という感じで上がるにしても下がるにしても指数は大きな動きになることが多く、日本市場も寄付きには米国市場や海外での為替動向に振らされるものの、日中の値動きは全くといっていいほどみられません。相変わらず何をみて売買をしているのかわからないような状況が続いているということでしょう。日中の動きが鈍くなっている理由も外国人が売り買いを手控えているからという見方もありますが、値動きがないことで値動きだけをみて売り買いする向きの動きが鈍くなり、そうした向きの値動きが鈍くなる値動きがないことでさらに売買が細るということでしょう。

 売買高を増やすことが薄利多売の鉄則として手数料の引き下げ競争が激しくなり、目先筋の動きに頼りすぎたという面もあるのだと思います。本日新聞の広告で大手ネット証券の売買手数料が無料というものがありましたが、信用取引金利を引き上げることで、売買手数料を無料にするという手法です。その昔は証券会社から情報を得るために手数料を払って売買をしていたわけで、インターネット証券になってからは売買ツールを提供することで手数料をもらっていたような面もあったと思います。

 それが、信用取引手数料が無料ということは、そうしたサービスの対価ではなく、「お金を貸す」ということで手数料をもらっているのと同じだと思います。つまり、昔の株券を担保に融資をしていた金融会社と同じことを証券会社が行なっていると言うことでしょう。大手や中堅の対面証券会社では営業マンは株を勧めることもなく、本当の意味での「証券会社」や「証券マン」ということばも死語となってしまいそうです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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