週末の手仕舞いの売り買いが交錯し方向感に乏しい展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年10月14日 16時07分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場はまちまち、米国のハイテク株は堅調となったのですが、日本市場は若干円高気味ということや米ダウ平均が軟調となったこと、そして昨日の大幅高の反動や週末の手仕舞い売りもあって売り先行となりました。オプションSQ(特別清算指数)算出はほぼ売り買い拮抗とみられましたが、寄付きの売り買いが一巡となった後は手仕舞い売りに押されて下値を試すような動きとなりました。外国人も相変わらず株数は売り越し、金額は買い越しと方向感もなく、持高調整の売り買いが中心とみられ、終日方向感に乏しい展開となりました。

 相変わらず寄り付きは動きがあるのですが、日中の値動きは非常に小さくなっていました。中国のCPI(消費者物価指数)が発表されても、全くといっていいほど反応はなく、本当に何を見て売り買いされているのか良くわからないような状況です。以前にもこのコラムで述べましたが、「証券マン」が相場に参加しているという雰囲気のみられない株式市場という感じです。従来であれば証券会社の営業マンが顧客にあーでもないこーでもないと言いながら株式投資のアドバイスをしながら株を売り買いし、それなりに勉強している営業としていないものとでは次第に差がつくような面もありました。

 しっかりと勉強している営業マンは(もちろん口八丁手八丁だけという輩も多かったのですが)それなりに顧客がついて手数料も上がるという感じで、相場に顧客も証券マンも参加しているという雰囲気はあったのですが・・・。今はそれこそ、「株式市場の常識」などが通用しない世界になって、単に値動きばかりを見ているような感じです。証券マンも株を勧めるのではなく、投資信託や外債の販売ばかりではないかと思います。ある本の宣伝に「英語がうまくてもバカはバカ」というような宣伝文句で「英語をしゃべれる」ということが手段ではなく目的となってしまうということではないかと思いますが、株式市場でも同じようなことではないかと思います。

 証券会社や証券マンを選ぶのに、自分が儲けるために「何をしてくれるのか」で選ぶのではなく、単に手数料だけで選ぶとかツールだけで選ぶということが多く、「儲かる」ということではなく「売り買いできる」ということが目的となってしまっているようでもあります。「ストラテジスト」や「アナリスト」でも分析の内容、コメントしている内容ではなく、「コメントすること」「分析すること」が目的で、誰でもいいから揃えておくというような感じです。本当に有益な投資方法や銘柄の選択を出来るよう、そして本当に投資家のためになるようなアドバイスが今後は求められるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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