“マイ・ストーリー”の達人になろう吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

» 2011年10月14日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
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マイ・ストーリーを使い分けてイメージチェンジ

 だが、このマイ・ストーリーで30歳まで進むと、壁にぶつかることが多い。上司や先輩、後輩、取引先、顧客とトラブルになる可能性が高い。これは、私の経験論でもある。ここでの判断が、その後の運命を変える。賢い人はイメージチェンジをする。つまり、1と2の折衷路線に切り替える。

 前述の例で言えば、こんな具合になる。「1年、警察担当の取材、その前に1年、県政の取材をした。それでも取材の仕事が分からなかった。そこでもっと深めようと、出版社に転職をした」

 「ひと通り学んだ」ではなく、「それでも取材の仕事が分からなかった。そこでもっと深めようと、出版社に転職をした」と見つめ直すのである。大前提として、これらが事実であることが大切である。

 そして、会社員としての人生が見えてきた30代半ばにさしかかるころに、2の路線に移す。あとは、定年までしがみつくことが現実的だろう。1の路線で30代〜40代を進むと、人生設計ができない。設計をすることは妥協の連続であり、力以上の夢や理想をあきらめることが大切だ。

 2のストーリーにシフトするならば、「1年、警察担当の取材、その前に1年、県政の取材をした。それでも取材の仕事が分からなかった。そこでもっと深めようと、出版社に転職をした」に、例えば、次のようなことを付け加える。ただし、事実のねつ造は好ましくない。

 「その後、いくつかの会社から『うちの会社に転職をしないか』と誘われたが、いずれも断った。俺はこの会社を愛している。お前たちを見捨てることはできない。そんな思いで、会社の経営陣と闘っている。俺はこの会社を変える」

 ……と言うと、まさに中年会社員の鑑(かがみ)となる。これをFacebookに書いて集客し、ビジネスをしようとすると、詐欺まがいになる。だが、このようなことを社内で語り、自分を奮い立たせるのは許されるのではないか。

 どうか、マイ・ストーリーの達人になってほしい。

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