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» 2011年10月13日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:本は電子書籍か、印刷か――その答えは「Think Different」で (1/3)

先週亡くなった、Apple前CEOのスティーブ・ジョブズ。彼が生み出したiPadやライバルのAmazonのKindleが届けてくれた電子書籍体験は、私たちに衝撃を与えた。今後、電子書籍はどのように私たちの生活に入り込んでくるのか。神保町を歩きながら考えてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 読書の秋を迎えて、大きな落葉があった。

 スティーブ・ジョブズ。

 PCを広め、スマートフォンを広め、タッチパネルでITの世界を変えた。IT界の巨人は文化面でも巨人、iTunesで音楽産業やソフトウエア産業を創り直した。同時代人として、iPhoneやiPadでその体験ができた我々は幸運だ。だが、墜ちた巨星は文化戦略でやり残したものがある。1つは「ソーシャル」で、これはFacebookの牙城。もう1つは「本」だ。

e読書ラボで電子書籍体験

 iPhone4S発表の1週間ほど前に、Amazonから発表された「Kindle Fire」は、電子書籍や音楽、映画、テレビ、ゲームなどが楽しめる、7インチディスプレイのオンラインタブレット。199ドル(約1万5000円)という衝撃的な価格で、発表後の5日間で25万台が売れた。iPhone4Sの24時間で100万台、iPad2の1カ月で250万台に比べると少ないが、Fireはじわじわとジョブズが残した木々にも燃え広がるのではないだろうか。

ah_KOslat.jpg 『Kindle Fire』

 落葉の神保町を歩いていて、そう感じた。神保町駅から徒歩3分の場所にある「e読書ラボ」。電子書籍の読書体験を提供しているのだが、ソニー「Sony Reader Touch」「Sony Reader Pocket」、シャープ「Sharp GALAPAGOS」、NTTドコモ「GALAXY Tab」、au「biblio Leaf」、Apple「iPad2」「iPod touch」、そしてAmazon「Kindle」と各種端末が勢揃い。

ah_jinbocho01.jpg e読書ラボにて

 メーカーの好き嫌いは別として、電子書籍が読みやすいのは圧倒的にKindle。ページがめくりやすい、目にやさしい、フォントがいい。モノクロでこれだ。

 カラーのKindle Fireは高速ブラウザでサクサク、読む・買う・遊ぶに徹した“お茶の間タブレット”と言われる。スペックで競合機に劣っても(内部記憶容量8GB、カメラなし)、読みやすさが同居すれば売れる。

 iPadは“自炊”に象徴される本の“電子情報化”を導き、Kindleは本の“情感”も感じさせてくれた。これなら電子書籍市場も開花すると思いきや、ラボを一歩外に出ると、隣の古書店の店頭に読書人が群れていた。日本では漫画しか売れない電子書籍、一方、米国では「数年以内に書店が消滅する」とも言われる。どっちが正しいの? 自分の本棚を訪ねて、「電子か、印刷か」を考えた。

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