1ドル=○○円――為替レート、読み方のツボ南はるなのFXのヒミツ(3/3 ページ)

» 2011年10月07日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]
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 現在の為替市場において、もっとも重視される登場人物(通貨)は米ドル、ユーロ、円の3大通貨。これら3つの通貨が絡む取引は、外国為替取引全体の7割以上を占めているので、米国、欧州、日本の経済に変化があれば、それだけ市場に大きな影響を与えることになり、ほかの通貨のレートにも影響が波及します。

 3大通貨のほかにチェックしておきたい通貨といえば、かつては基軸通貨であった英ポンド、永世中立国の通貨であり避難通貨として働くことの多いスイスフラン、資源国通貨のオーストラリアドル、カナダドルなど。それぞれが通貨の交換レートという名の綱引きをしていることになります。こうしたことを頭に入れておくと、各国の為替政策はまるで“世界規模の綱引き大会”のようですね。

 最近の状況を見てみると、米国は長引く不況による経済の停滞を打破するために、自国の通貨安政策を続ける姿勢がうかがえます。欧州もギリシャに端を発した債務問題など問題が山積する中で、政策金利を上げることを手控えている様子。こうした動きを受け、投資家たちは米ドルやユーロからより安全性の高い通貨を求めて資金をスイスフランへと移動させたので、スイスフランが主要通貨に対して急上昇しました。

 これをスイスが黙って見ているわけもなく、無制限の為替介入を行うとの強い声明を発表しました。無制限の介入ができるかどうかは疑問ですが、スイス中銀の凄腕総裁の発言は絶大でした。一方の日本は、試合が始まっても綱すら握っていない状態なので、全く勝負になりません。

 現在、円は市場最高値水準のまましばし膠着状態に突入しています。民主党政権は、過度な円高を阻止するために介入の準備はあるようですが、1日の取引高が約4兆ドルと言われる為替市場で日本単独での介入を少々行ったとしても効果は限定的。サプライズなカードを切らなければ、市場への影響はあまりないでしょう。

結び

 これまでFX取引のお話を中心にご案内をしてきましたが、為替を知るということはすなわち経済を知るということを、なんとなくご理解いただけたでしょうか。いますぐFX取引をする予定がない場合でも、今後きっと役に立つと思いますので、少しでも興味をお持ちいただけたなら嬉しい限りです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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