「常に自分が悪い」が招く結末とは吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年10月07日 08時01分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

“弱々しさ”は逆効果?

 私は、そのような人に言いたい。「そんな“演出”をしていると、不幸が訪れるよ」と。 自虐的にとらえると、次に挙げたような人が忍び寄るはずだ。これは、私が取材先や取引先で見かける光景でもある。

  • 不満やコンプレックスの塊の人
  • 人と人との力関係に敏感な人

 不満やコンプレックスは誰もが持っているが、それが強い人は“弱々しさ”を見せる人を「カモ」にする。例えば、学歴コンプレックスの人はみんなの前で「あいつ、●●大学を卒業しているのに、あんな簡単なことができない」とか、「大卒なのに使えねえ〜」と言うことがある。

 こういう具合に揚げ足を取られると、自虐的にとらえる人は「自分が悪いんだ」と責める。だが、これは逆効果である。いったん“弱々しさ”を見せると、不満やコンプレックスの塊の人はハイエナのように襲い掛かる。「こいつは反撃してこない」と見たら、たたみかけるのが彼らの思考のクセだ。

 確かに「自分に非があるのではないか」と振り返り、態度や考え方を変えた方が得策ではある。だが、不満やコンプレックスの塊の人にそんな良識は通用しない。この人たちは、自分の満たされない心を癒やす、道具が欲しいのだ。それが、弱い人なのだ。

 こんな輩にはむしろ、毅然たる態度で言い返していい。少なくとも、“弱々しさ”を見せて同情してもらおうとは考えないこと。それは、相手の思うツボだ。

 さらに、人と人との力関係に敏感な人にも警戒をしたい。例えば、自分中心の体制でないと、気が済まない上司や先輩が挙げられる。彼らは、部下や後輩を絶えず押さえつけて、力関係をはっきりさせようとする。

 こういう人にも、 “弱々しさ”を見せないほうがいい。ただし、上司や先輩などである以上、同じ土俵に上がるべきではない。言い争うと、この人たちは自分中心でないと納得できないのだから、根に持つ。私も30代のころ、このタイプの上司に5年間も仕え、苦労した。

 このタイプからつけこまれないようにするためには、安易に「自分が悪い」とは言っていけない。毅然たる態度を取りつつ、機会あるごとに「すばらしいですね」などと称えてあげることだ。このタイプは単純な性格が多く、このレベルで喜ぶ。

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