「常に自分が悪い」が招く結末とは吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年10月07日 08時01分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 先日の時事日想で「『常に自分は正しく、相手が悪い』が招く結末とは」という記事を書いたが、今回はそれに補足をしたい。私が専門学校で教えてきた30代前半までくらいの会社員がその内容を誤って受け止めていた。

 その記事で私が言いたかったことは、次のことである。

 「職場やプライベートで問題にぶつかった時に、上司や同僚、取引先、あるいは家族を批判し、自らを省みないならばその状況を抜け出すことはできない。どこかのタイミングで、同じようなトラブルに出くわす。それは、その人の意識が変わっていないから」

 だから、「常に自分は正しく、相手が悪い」という考え方の人の行く末はいい結果にはなりえない、とした。ところが、前述の会社員の中に、これを「常に自分が悪く、すべては自らに非がある」と思い込むことだと受け止めた人がいた。

 結論から言えば、そんな思いで私は記事を書いたのではない。トラブルに出くわした時、「自分に非があるのではないか」と振り返り、自らの態度や考え方を変えた方が人間関係を維持していく上で得策である。特に仕事をする力がまだ弱い30代半ばまでくらいは、この方が有利に働くことが多い。

 だが、それは「常に自分が悪い」と思い込むことを意味しない。そもそも、その「悪い」とは何を指すのか。そしてそのトラブルがほかの人と比べてどのくらいに大きなものなのか、さらにそれを今後、どのように解決していくのか。これらをきちんと考えることこそ、大切ではないか。

 ところが、「常に自分が悪い」と思う人はこういう振り返りをしない。一見、謙虚に見えるが、実は反省をしていないように私には見える。本気で「自らに非がある」と思うならば、そのミスや問題にきちんと向かい合うだろう。漠然と「自分が悪い」と言う人は、周囲の人から同情してほしいと思っているようにすら見える。

 その意味で、「常に自分が悪い」と言っている人も、「常に自分は正しく、相手が悪い」という人と同じ考え方でしかない。双方とも、現実から逃げている。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.