欧州金融不安に乱高下、最後は買戻しを急ぐ動きもあって大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年10月05日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8456.12▼89.36

<TOPIX>762.30▼10.93

<NYダウ>10808.71△153.41

<NASDAQ>2404.82△68.99

<NY為替>76.82△0.22

欧州金融不安に一喜一憂して乱高下、最後は買戻しを急ぐ動きもあって大幅高

 引き続きギリシャ問題など欧州の金融不安が根強く、売り先行、大幅安となる場面もありました。ただ、FRB(連邦準備理事会)議長が議会証言のなかで追加金融緩和の可能性に言及したことから下げ渋り、ナスダック指数は一時堅調となる場面もありました。ただ、その後もイタリア国債格下げのニュースなど欧州を巡る金融不安が根強く、売り直される場面もありました。引け際には欧州金融機関に対する資本注入の共同実施が報じられると買戻しや値ごろ感からの買いを急ぐ動きとなって大幅高となりました。

 前日の下落要因の一つであったフランスとベルギーの銀行に対する資本注入も報じられてギリシャのデフォルトの影響が金融機関に与える影響を極力抑えようとしている欧州金融当局の姿勢もみられ、欧州金融不安も少し薄らいだものと思います。引き続き世界的な景気鈍化懸念や欧州金融不安も完全に払拭されたということでもないのですが、とりあえずは売られ過ぎの修正も含めて一段落となった感じです。

 個別にはスマートフォン(高機能携帯電話)の新製品を発表したアップルは材料出尽くし感から軟調となりましたが、インテルやIBMなども反発、ハイテク銘柄は総じて堅調となりました。前日破綻を懸念するレポートが嫌気されて大きく売られたAMRが大幅反発、欧州金融機関に対する懸念が薄らいだことでバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株は軒並み大幅高となりました。世界的な景気鈍化懸念は残るものの売られ過ぎの修正もあってキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなども堅調、金や原油の先物価格は軟調となりましたが、売られ過ぎの反発からエクソン・モービルやシェブロンといった石油株は高く、堅調な推移となっていたパブリック・ゴールドやニューモント・マイニングは軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安やユーロ安を受けて売りが先行、大幅安となりました。午後に入ってから日銀のETF(上場投資信託)買いもみられ、下げ渋る場面もあったのですが、ユーロの動きに連動しながら狭い範囲でのもみ合いとなり大幅安の引けとなりました。特に個別の材料がなくてもちょっとした連想で売られてしまうようなものも多くみられ、センチメントの悪さで指数も下押しているような感じです。

 米国株は乱高下となりましたが、引け際から急上昇して大幅高、為替もユーロが大きく反発となったことから日本市場も買い先行となりそうです。昨日までの下落の反動も期待され、ユーロ安などを嫌気して売られた銘柄などの戻りも期待されますが、昨日の日本市場で下げ渋りとなっていた分、戻りが鈍いのかもしれません。ただ、欧州金融不安が薄れたことで売られ過ぎの修正などはみられるものと思われ、主力銘柄を中心に堅調な展開となると思います。

 日経平均は節目とみられる8500円水準を割り込みましたが8300円台では売り難さもみられ、シカゴ市場(CME)の日経平均先物が大きく反発となって8500円台に戻していることから再度8500円〜600円水準を目指すことになりそうです。今度こそ8500円〜600円水準での底堅さを確認するような動きになるのか、今度も8500円〜600円水準での上値の重さを確認することになるのか、米雇用指標や欧州金融不安の度合いをみながらの動きとなってくるのだと思います。為替動向に振らされながら戻りを試すことになるのでしょう。

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