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» 2011年10月05日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:ローソンに食われる!? 街のケーキ屋の危機をどうするか? (1/2)

コンビニスイーツが絶好調だ。そして、その影響を受け地元の街からケーキ屋が消えるかもしれない。どうしたらいいのだろうか?

[金森努,GLOBIS.JP]
GLOBIS.JP

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年9月30日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 ローソンといえば、まず思い出される人も少なくないほどの看板商品となっている「プレミアムロールケーキ」。個人的にはスイーツをたしなまないことは人生の不幸だと思うが、甘いものが苦手な人のために同商品の解説をしよう。

 「個食タイプのロールケーキ。『ウチカフェスイーツ』シリーズの定番商品の1つ。植物性油脂を混合しない、純生クリームを使用。クリーム部分が多く、容器に入れたままスプーンですくって食べるようになっている。2009年7月に開始した『驚きの商品開発プロジェクト』から、デザートの第1弾商品として2009年9月29日に販売開始。発売19カ月で累計販売個数が1億個となった」(はてなキーワードに加筆修正)

 ローソンがけん引して、コンビニスイーツ市場は大きく拡大している。6月17日発表の「国内のスイーツ市場調査結果 Business Media誠・6月17日調査リポート」(富士経済)によれば、2010年の小売スイーツ市場は前年比0.2%増の8718億円とやや拡大であるが、チャネル別にみると、コンビニが同6.2%増の1045億円と大幅増。特にロールケーキが同27.3%増の98億円と急成長したことが要因であるという( BusinessMedia誠「ロールケーキのヒットで、2010年のコンビニスイーツ市場は6.2%増」より引用・加筆修正)。

 コンビニスイーツが飛躍的にここ数年で本格的になったことは、読者のみなさんも肌で感じられていることと思う。昔はそっけない出来のもので、「これいったい誰が買うのか……」と正直思っていたものだったが、近ごろは「ここはデパ地下か」と目移りするほどだ。

 コンビニの勢いは増すばかりだ。ローソンが9月13日に出したニュースリリース「ヨーロッパの本格的なスイーツを6週連続発売!(外部リンク)」。

 「期間や数量を限定することで希少な素材や手間をかけた製法などを取り入れた『UchiCafe'SWEETSシーズンズコレクション』を展開する」といい、商品写真を見れば、百貨店のケーキ売り場や洋菓子店の商品と何ら変わらない、コンビニスイーツとは思えない品々が並んでいる。

 深刻なのが、最も市場規模が大きい総合洋菓子店。2011年の市場規模は、前年比6.9%減の2175億円になると見込まれているという。

 街の洋菓子店でスイーツを買うのはどんな時だろう。もちろん、誕生日やクリスマスのホールケーキはれっきとした「ハレの日」需要だ。だが、それ以外の個食のカットケーキは特別な日ではない、さりとて日常でもない、ちょっとしたハレの日。「小バレ」ともいうべき日に買われていたのではないだろうか。カットケーキを選んで組み立て式の紙の箱に入れてもらう。小さなサプライズに用いられるのに、ケーキは贈る側にも贈られる側にも最高のアイテムだ。だが、ローソンのリリースの写真を見ると、その需要をすっかりすくい取ってしまうだけのインパクトが、新しいラインアップにはある。

 調査リポートでは、洋菓子店の中には「ロスが少なくコンビニとあまり競合しない焼菓子に注力する動きが見られる」とある。「ケーキを買ってきたよ」と言われて、期待に胸を膨らませて中を見たらパウンドケーキだった……なぁんてことになったら、キモチの凹みはハンパでは済まない。

 食べログで3.5〜4.0の高評価がつくプレミア店は除き、価格や商品力ではもはや、コンビニに勝てない。

 街の洋菓子店の顧客数はコンビニとは比べものにならないぐらいに少ない。また、店員の数も限られており、家族経営も多い。だとすれば、その規模の小ささを大きな武器にしたい

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