金融不安や景気鈍化懸念が根強く大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年10月04日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8545.48▼154.81

<TOPIX>747.11▼14.06

<NYダウ>10655.30▼258.08

<NASDAQ>2335.83▼79.57

<NY為替>76.60▼0.44

予想を上回る経済指標も見られたものの、金融不安や景気鈍化懸念が根強く大幅下落

 ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数が予想を上回り、建設支出が予想に反して2カ月ぶりのプラスとなり、週末の大幅下落の反動から堅調となる場面もあったのですが、欧州金融不安が根強いこと、ギリシャ首相辞任のニュースに加え、JPモルガン発表の製造業景気指数(PMI)が2年ぶりに好不況の境とされっる50を割り込んだことや金融規制強化の問題が取りざたされて大幅下落となりました。航空会社が破綻するのではないかとの見方が伝わるなど景気の悪化を懸念させる話題も売り急がせる要因の一つとなったものと思います。

 センチメントが悪い時というのは何でも悪い方に考えるということであり、ちょっとした材料でも悪材料となり得るものには過敏に反応するということだと思います。ユーロだけでなく、高金利通貨といわれる通貨も下落、商品相場も下落となっていることで信用収縮の動きは強まっているのでしょうが、リスク回避の中でも金先物が買い直されていることが唯一の救いという感じです。今後は各国の金融・財政政策や景況感などをみながらの押し目買い、値ごろ感からの買いを期待することになりそうです。

 個別には欧州銀行の格下げやギリシャのデフォルト懸念が強まってシティグループやバンク・オブ・アメリカが10%近く安く、JPモルガン・チェースも5%近い下げとなるなど金融株が大幅下落、インテルも大幅安となるなどハイテク銘柄も軟調、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコア、フォード・モーターなど景気敏感株も軒並み大幅安となりました。ホーム・デポやコカ・コーラなど消費関連銘柄も大幅下落となりましたが、ウォルマートは小幅高でダウ平均採用銘柄の中で唯一高く、金先物価格が上昇となってパブリック・ゴールドは軟調となりましたが、ニューモント・マイニングは堅調となりました。一部のアナリストが経営破たんの可能性を指摘したと伝えられたアメリカン航空の親会社AMRが30%を超える下げとなり、破産法適用申請の意思はないと声明を発表したイーストマン・コダックは72%の反発となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は先週末の米国株安やユーロ安を嫌気して売り先行となり、ユーロ安も止まらないことなどから下げ幅を広げる場面もあるなど大幅下落となりました。ハイテク銘柄など輸出株を中心に売られ、一時8500円の節目を割り込みなど見切売りも嵩んで大きく下げる場面もみられ、終始冴えない展開となりました。外国人も売り越し基調と伝えられ見切売りも嵩んだものと思います。

 欧米株が大幅下落、為替も円高、特にユーロが大きく売られたことから売り先行となりそうです。米国景気鈍化懸念もさることながら、欧州金融不安に金融規制強化など金融システムに懸念が強まったことでリスク許容度が極端に低下、信用収縮の流れが加速されたものと思われます。ハイテク銘柄や機械株の一角など欧州のウエイトが高い企業は冴えない展開となりそうで、内需株が引き続き復興期待から買われるか、小型銘柄で手仕舞い売りに押されたインターネット関連銘柄が幕間つなぎとして買い直されるのかが注目されます。

 引き続き日経平均の8500円水準での底堅さが見られるのかどうかが注目されます。シカゴ市場(CME)の日経平均先物が8380円と8300円台になっており、8500円〜600円水準を固める動きではなく、上値の重さを確認した形となり、今度は下値の節目である8200円〜300円水準での底堅さを確認することになるのだと思います。一気に円安に振れるとか、金融不安が払拭されないと9000円台も難しくなってしまいそうです。

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