米国株安やユーロ安を受けて大幅下落、下値を試す展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年10月03日 16時29分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国株が大幅安となったことやユーロが大きく売られたこと、そして外国人売買動向が相変らず売り越し、特に大幅売り越しとなったことから売り先行となりました。日本の時間帯でもユーロがじり安となるなど、欧州金融不安に対する懸念が拭い切れず、米国の主要な経済指標の発表を控えていることもあって見切り売りも嵩んで大きな下げとなりました。節目とみられる水準を下回るところからは売り叩く動きや見切り売りも一段落となって戻り歩調=下げ幅縮小となる場面もありましたが、終始大幅安という水準での動きであり、冴えない展開となりました。

 冴えない相場が続いていますが、足元の業績面、指標面からは割安となっている銘柄が多くなっています。そういったことを裏付けるかのように、「自社株買い」も多く、こうした材料には敏感な反応となっているようです。ただ、以前にもこのコラムでも述べましたが自社株買いというものも、自社株がそれだけ割安となっている銘柄も多いということなのですが、単に割安というだけで、自社の株を買うということは本当に良いことなのでしょうか?

 本来であれば新規の投資や借り入れコスト削減のためにお金を使うべきであり、自社株を買うということ自体が自社のビジネスモデルを否定するようなこともあるのではないかと思います。新たに投資をしても資金効率が良くないから自社株を買うのも株主のためといいながら一部の株主のためということが多いのではないかと思います。本当に会社の価値を高めるということであれば、新規の投資にお金を回すべきでしょう。新規の投資にお金を回すことが出来ないのであれば株主にそのまま配当として配分することでも良いのではないかと思います。

 いずれにしても、目先の株価ばかりを気にする投資家が多いことの表れであり、投資家だけでなく経営陣も目先の株価ばかりを気にしている面もあるのではないかと思います。もちろん、株式の価値を高める経営は大切ですが株式の価値を高めることを小手先の作業で行なうのではなく、恒常的に会社の価値が高まっていく方向に持っていくべきではないのでしょうか?四半期決算の報告が求められるようになり、ますます目先の経営に陥っているようですが、長い目でしっかりと見て経営されている会社こそ投資価値があるというものだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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