コラム
» 2011年10月03日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:ジョージ・ソロス氏が説く、大恐慌を防ぐための3つのステップ (1/2)

ひょっとしたら世界大恐慌に陥るかもしれないというときに、日本政府はどこまで警戒しているのだろうか。今回の時事日想はフィナンシャルタイムズ紙に掲載されたジョージ・ソロス氏の一文を基に、今後の世界経済を占ってみたい。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 世界中の投資家にとって、今は一瞬たりとも気の抜けない状況であるに違いない。ドイツ連邦議会が欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充を承認したと聞いてはホッとし、米国の第2四半期成長率が1%から1.3%へわずかとはいえ上方修正されたことでホッとする。しかしそれでソブリンリスク(国の債務危機)を乗り切れると言い切ることは到底できない。

 世界的な投資家であるジョージ・ソロス氏がフィナンシャルタイムズ紙に「いかに第二の大恐慌を防ぐか」という一文を寄せている。その冒頭でソロス氏はこう言う。「現在、金融市場は世界を第二の大恐慌に向かって駆り立てている」

 これを読むと「そこまで深刻なのか」と感じてしまう。日本から見るとやはり欧州は遠くて、IMFが「世界経済は危険水域に入っている」と警告しても、どこか対岸の火事なのかもしれない。国会論戦でも野田首相は「返すあてのない借金を増やすことはできない」として復興増税を推進しているが、900兆円もの借金については2020年の基礎的財政収支黒字化を目標に進めるというばかりだ。

 本来的に言えば、復興財源手当10兆円前後を増税で賄うよりも、2020年に政策経費を税金で賄うというのなら、今年の目標、来年の目標とそれぞれの目標を立てるべきだと思う。そうしないと目標にどれぐらい足りないのか、どれだけの歳出カットや増税をしなければならないのかが分からないからである。ギリシャのように目標を立てても、それを達成することができず、日本国債が市場で売り込まれるという破滅的な事態にもなりかねないからである。参議院の予算委員会質疑でもあったように、900兆円に比べれば10兆円など「ちまちました金額」に違いない。

 ソロス氏は、大恐慌を防ぐためには3つの大胆なステップが必要だと説いている。第1に、ユーロ圏の国は統一した財政にするための新しい条約を結ぶこと。第2に、ECB(欧州中央銀行)は、域内の銀行に対して現在の信用供与枠を維持するよう指示し、同時にリスクを注意深く監視すること。第3に、ECBはイタリアやスペインのような国が極めて安いコストで国債を借り換えることができるようにすること。これらの方策を取ることで、市場は鎮静化し、それぞれの国が成長戦略を考える時間を稼ぐことができると主張する。そしてこれなくしては欧州の債務問題を解決することはできないという。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集