アフター3.11、ビジネスパーソンはどう変わった? (前編)仕事をしたら“グラッ”ときた(5/6 ページ)

» 2011年09月30日 08時08分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

家族と過ごす時間を大切に

土肥:ビジネスパーソンの間で多様な価値観は広がるかもしれませんが、各社が発表している就職や転職したい企業ランキングを見ると、あまり多様性がうかがえませんよね。

黒田:確かにそれは大きな課題ですね。就職でも転職でも、人気企業とそうでない企業の落差が激しすぎる現状があります。

 これは企業名だけでなく、業種・規模・地域によっても大きな差があります。こうした傾向を是正して、より自分に合った会社選びや仕事選びを増やしていきたいと考えています。

土肥:どんな企業に人気が集まっているんですか?

黒田:やはり企業の知名度やブランドイメージ、規模などの要素が大きいですね。これは今に始まったことではなく、数十年続いている傾向ですが……。

 ただ、テレビのドキュメンタリーや書籍を通じて、プロフェッショナルの仕事に触れて感動する人は多い。弁護士を辞めて大好きな釣竿を作る職人になった。年収は3分の1になったが、たまらないほどのやりがいを手に入れた人を見て「ああ、いいなあ」と感じる。心のどこかに、自分の能力が生かされることや誰かにもっと大きな期待されることに対する“あこがれ”があるのでしょう。しかし現実的に行動に移すには「やはりリスクが高い」「安定収入の確保が優先」と身動きができないケースが圧倒的ですね。

土肥:なるほど。

黒田:ちなみに今回のアンケートでは、仕事選びの基準について、最も重視している項目を聞いてみました。現在または震災前に重視していたことを尋ねたところ、現在も震災前も「給与」と答えた人が最も多かった。

 しかし震災前と比べ、現在では6.3ポイントも減少していたんです。この下げ幅は、他の項目と比較しても最も大きかった。これは、インパクトのある数字です。

仕事選びの基準に変化がうかがえた(写真と本文は関係ありません)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.