35歳になった時に心得ていないと、もっとヤバイこと吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年09月30日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 先日の時事日想で「35歳になった時に心得ていないと、ヤバイこと」を書いたところ、人事コンサルタントで株式会社イマジナの代表を務める奥山由実子さんから指摘を受けた。それは、記事の中の「職務遂行能力×仕事への意識・考え方=成果・実績」という考えについてだった。

 改めてこの公式について説明しよう。例えば、職務遂行力が5段階評価で3のレベル(平均)でも、仕事への意識や姿勢が5段階評価で4ならば、3×4で12の成果が出る。仕事への意識が高いことは、有利に働くのだ。低いと、たとえ職務遂行力が高くとも、成果は思い描いたように上がらない。

 この仕事への意識や姿勢は、自分ではなかなか分からない。だから、つい「俺はあの社員と仕事への姿勢は変わらない」などと思いがちだ。私も会社員のころ、そのような思いだった。だが、ベテランの上司が見ると、仕事への姿勢がいい人と悪い人の差はある程度は分かるものだ。

 社員間の競争は、高校野球のようにトーナメント方式ではない。むしろ、プロ野球のペナントレースのように長きにわたり、競い合う。最後にモノを言うのは仕事への意識や姿勢であることが多い。

 奥山さんはここまでのことに共感しつつ、このようなことを述べた。

 「『職務遂行能力×仕事への意識・考え方=成果・実績』に近いものとして、『職務遂行能力×熱意×考え方=仕事の成果・実績』というとらえ方もある。この考えを35歳になった時に心得ていないと、もっとヤバイことになるのではないか」

 これはニューヨークで会社を経営していたころ、盛和塾で学んだことだという。盛和塾は若手経営者たちが、京セラの稲盛和夫名誉会長から人としての生き方や、経営者としての考え方を学ぼうと集まった自主勉強会に端を発している。奥山さんがニューヨークにいるころに、NY塾が開設された。

 奥山さんの解説で、職務遂行能力×熱意×考え方=仕事の成果・実績を見ていこう。職務遂行能力と熱意は0点から100点まである。だが、考え方は−100から+100点まである。

 この考え方が職務遂行能力や熱意よりも大切なのだという。その例として、「周囲の人がびっくりするほど前向き」であることや、「絶えず明るいこと」などを挙げた。

 例えば2人の社員がいて、職務遂行能力と熱意がそれぞれ50点だとする。ところが、2人は考え方が違う。1人はいつも明るく、前向きに考える。その考え方が80点とすると、50×50×80=20万点となる。

 もう1人は絶えず上司や周囲を批判し、どうも暗い。その考え方が−80点とする。すると、50×50×(−80)=−20万点。双方の成果は片方が20万点で、片方は−20万点となる。

 これは私の認識だが、会社員は給与では同世代の場合、このような差がつく可能性は低い。しかし、考え方次第で会社員人生は大きな差がつく。

 例えば、所属部署での評判や評価、社内での待遇、給与や賞与などの賃金、社外での地位などを総合すると、しっかりした考え方の人とそうでない人の差は大きなものになる。

 そして社内で高い評価が付き、多くの人に認められると、プライベートも充実してくる。意味のない転職をすることなく、計画的・段階的にキャリアを作ることができる可能性が高い。人生が好循環になる。こういう人は結婚なども早く、早くに足場を固める傾向がある。これがまた、仕事にいい影響を与えていく。

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