ユーロ高を好感する動きなどで堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月29日 13時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株が大幅安となったのですが、昨日の相場ですでにある程度織り込まれていたことから底堅く、一時大幅安となる場面もあったのですが、後場に入ってからは逆に底堅さを確認して買い戻しを急ぐ動きやユーロで大きく円安に振れたことから買われ、堅調となりました。中国景気鈍化懸念や商品相場の下落で商社株が大きく売られるなど外部要因の影響が大きい銘柄は売られましたが、ゲーム関連、SNS(ソーシャルネットワーク)関連銘柄は内需株として幕間つなぎ的に買われ大幅高となるものもみられました。

 米国株式市場もここのところ上がる時も下がる時も大きな値動きとなることが多いような気がします。以前からこのコラムでも述べているように目先的な売り買いが主流になっていることや見ているニュースが皆同じで、反応も「動いた方が正しい反応」ということで一斉に動くことが多いということでしょう。欧州の金融不安にしても、本当に資金的な流が悪くなっている面もあるのでしょうが、多分に株価や商品相場の動きが逆に材料を探してきてそれに反応して動きを大きくしているというような面もあるのではないかと思います。

 昨日の米国の下落要因である中国の景気鈍化でも実際に中国の経済指標が悪化したということでもなく、商品相場が下がっているので、材料を探したら中国景気鈍化が懸念されるというニュースがあったというような感じです。欧州金融不安、特にギリシャ問題などは昨年の春頃からいわれて、いまだに進展もみられないということではないかと思います。CDSやVIX指数というものが高くなると相場に対する懸念が強くなるなどといわれますが、これもまた、逆に懸念が強まったからこういう指数が上昇するということなのです。

 結局は株式にしても商品相場にしても需給要因で上げ下げが決まるのですが、その需給要因があくまでも目先の値動きによって左右され、値動きによって左右された需給がまた値動きの要因となるという連鎖なのだと思います。商品相場は実需というものがあって、ある程度値動きにも歯止めがかかるのでしょうが、金融商品化した原油や金の先物価格はあくまでも値動きが主体ということでしょう。日本の株式相場も業績云々というよりも目先の値動きに振らされることが多いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.