米国株高を受けて大幅高、最後は配当取りの動きもあって高値引け清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月27日 16時25分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 欧州金融不安が薄れて米国株が大幅高となったことから買い先行となり、昨日の大幅安の反動もあって大幅高となりました。ただ、寄り付きから買い先行となった後は指数の値持ちは良いものの物色対象を絞り込んで買い上がることもなく、方向感に乏しい展開となりました。それでも、上値の重さを嫌気して売り急ぐようなこともなく、ユーロの動きに振らされる場面も見られたものの、堅調な地合いが続きました。引けを意識する時間帯からは買い戻しを急ぐ動きも出ましたが最後まで買い切る動きもなく、最後は上げ幅縮小して終わりましたが、堅調となりました。

 欧州金融不安もかれこれ騒がれ出してから1年以上がたちますがいっこうに進展もすることなく、徐々に景気への影響が懸念されています。確かにギリシャのデフォルト等が現実味を帯びてくるとその際の影響が懸念されます。「リーマン・ショック」以上のインパクト=影響があるという向きもいるようですが、先日来このコラムで述べているように、影響はある程度限定されているのではないかと思います。

 ここのところECB(欧州中央銀行)が示しているのも欧州の銀行への資金注入であり、資本増強が取りざたされているのです。ギリシャがデフォルトとなっても、ギリシャ国債を組み入れたデリバティブなどというものも少ないと思われ、損失が国債の保有金額以上になるということはほとんどないと思います。そして、もちろんギリシャと心中するつもりでないわけですから、ギリシャに限らずどの国の国債でも銀行の経営が傾くほどの保有はしていないと思われ、気を付けなければならないとすれば、ギリシャがデフォルトになった時に、スペインやポルトガル、イタリアなどに波及することではないかと思います。

 ですから、欧州金融安定基金(EFSF)を利用してデフォルト回避、あるいはデフォルトの波及が回避されるということであれば、リーマン・ショック時のような世界的な信用収縮というところまではいかないのではないかと思います。証拠金引き上げで金先物が暴落したというのもこの構図と同じで信用供与で世界の金融が成り立っているわけですから、信用の供与が担保出来れば、大きな混乱は避けられると思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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