日本市場が休場の間の海外市場は大幅安とはなったものの週末には反発となるものが多く、為替も下げ渋るものも多かったことから底堅い始まりとなりました。ただ、外国人売買動向(市場筋推計、外資系9社ベース)が金額で売り越しと伝えられたことやじりじりとユーロが軟調となったことが嫌気されて売られ、大幅安となりました。為替が円高になると売られるという動きに加え、中間決算期末ということで持高調整の売りに見切り売りも嵩み大きな下げとなりました。
日経平均も下値の節目とみられる8500円水準を割り込みました。先週も日本市場が休場となるところで、日経平均先物は大きく売られていたのですが、その安値水準にさや寄せするような動きとなりました。欧州金融不安に端を発した世界的な景気鈍化懸念が強まったこと、つまり、2008年の「リーマン・ショック」と言われて信用収縮の動きが一気に進んで株も商品も大きく売られたことを想起して大きな下げとなったものと思います。
つまりは信用収縮=リスク許容度が大きく低下したということなのですが、実際の資金需給動向や景気動向に関係のないところで、「懸念」ばかりが独り歩きをして実体経済に影響を与え始めているということなのでしょう。G20でも何も決まらなかったことも売り急ぐ要因となったのでしょうが、新興国でしか稼ぐことが出来ないとなるとどの国も「自国通貨安政策」を採らざるを得ず、思惑の一致は難しいということになるのでしょう。
このコラムで何度も述べていますが、各企業では円高対策や為替の動向に振らされない体質を作るべく努力をしているのですが、政策面での後押しもなく、自助努力では自ずと限界があるということなのでしょう。徹底的に介入をするとか、強烈な緩和姿勢を示すということでもないと厳しい状況は続くと思われます。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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