世界的な景気鈍化懸念が強まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月22日 16時18分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国FOMC(公開市場委員会)で「ツイストオペ」という手法で長期金利の低下を促す「金融緩和」が行なわれたのですがQE3(量的緩和)を期待したむきの失望感、そしてFRB(連邦準備理事会)がFOMC後のコメントのなかで「景気が著しい下方リスクに直面している」と景気鈍化に言及したことなどが嫌気されて米国株が売られ、売り先行となりました。その後中国のPMI(製造業購買担当者景気指数)も2カ月連続の悪化、3カ月連続の50割れとなったことが伝えられると3連休を控えた週末ということもあり、手仕舞い売りや見切り売りが嵩んで大幅下落となりました。

 注目されたFOMCも失望されてしまいました。ただ、足元の好調な決算を発表する企業も多く、網米国景気は「二番底」となっていると見る向きもいるようですが、先行きに対してはそう悲観的になることもないのだと思います。為替もユーロが一時103円台を付けるなどさらに欧州での金融の混乱を想定しているような感じですが、欧州でも独仏の企業等はユーロ安の恩恵を受けて好調な業績となっているものも多いのではないかと思います。楽観的に見過ぎるのかもしれませんが、欧州金融不安も欧州銀行さえしっかりとしていれば大丈夫ということではないかと思います。

 米国の「ツイストオペ」も効果はないという見方もあると思いますが、長期金利の低下が住宅ローン金利の低下につながり、住宅取得をしやすく、住宅市況の好転を促すものと考えれば、雇用、個人消費、住宅の改善への狙いという意味では効果もあるのではないかと思います。雇用が確保でき、住宅ローンが組めれば住宅価格が安定し、雇用がしっかりとして住宅価格が安定すれば、個人消費も伸び、個人消費が伸びれば企業業績も上向いて、雇用が確保されるということなのでしょう。

 経済対策は単発的にばらまきのような形ではほとんど景気浮揚効果等はないと思いますが、日本でも法人減税をすることによって企業業績が上向き、従業員の賃金が上昇すると消費が増えるというようなことにすれば良いのだと思います。個人の消費が伸びないのであれば、企業の消費、かつてのバブルの頃のように企業がお金を使うということがさらに企業の収益拡大につながるのであればそのような施策を採ることが必要ではないかと思います。法人税収は減っても消費税はそれ以上に増えるような仕組みを考えるというのも良いかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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