欧州金融不安や先週末の大幅高の反動から大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月20日 16時13分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 日本市場が休場となっている間の海外市場は欧州金融不安、ギリシャの財政問題等に振り回されて乱高下となりました。日本市場は3連休前の大幅高の反動や朝方イタリア国債が格下げとなったとのニュースが伝わったことなどから売り先行となり、ユーロが軟調となったことも逆に金融不安を煽るような格好で売り急がせる場面もありました。それでも、外部要因の影響が大きい中で米FOMC(公開市場委員会)の開催を控えていることや、先週末に続いて外国人が買い越しと伝えられたことなどから売り買いともに積極的な動きは少なく、寄り付きの売りが一巡となった後は底堅さもみられるなど小動きとなりました。

 相変らず欧州金融不安からの信用収縮懸念に世界中の市場が振りまわされている感じです。サブプライムローン問題=リーマン・ショックの印象が強く、金融不安がすぐに景気後退につながってしまうのではないかとの懸念が根強いということでしょう。ただ、昨年春頃の「ギリシャ問題」以来、何度もこのコラムでも述べて来ましたが、そもそも「ギリシャ問題」というのはいったい何なのでしょうか?サブプライム問題と同じようなものとして取りざたされていますが、本質的には何が問題なのでしょうか?

 イタリア国債も格下げとなりましたが、そもそも格付け会社自体が本当に「絶対的なもの」なのかどうかというレベルであり、各国の政策には影響はないはずです。サブプライムローン問題が本当に怖かったところは、「誰がどれだけ損を抱えているのかわからない」というところにあったわけであり、ギリシャ国債の相対のデリバティブが大量に出回っているということでもなく(あるとしてもCDSくらい)、以前にも述べたように「ドバイショック」と同じでたとえ、ギリシャがデフォルトになってもどこの銀行や保険会社だどれだけ損をするのかが「みえている」ということなのです。

 ですから、金融機関に対する資金供給が潤沢に行なわれるのであれば格付けも特に気にならず、損失をしっかりとこなせるのかどうかだけを見れば良いと言うことになります。世界的に活躍している企業はユーロ安やドル安の恩恵で足元の業績は好調であり、資金的に懸念がないということが確信できれば、新興国の経済拡大が続いているうちは、景気鈍化となる場面はあっても景気後退はないのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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