国民統一番号制って必要なんじゃないちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)

» 2011年09月19日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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電子投票制度のための環境整備として不可欠

 日本には一元的な管理番号がない代わりに、多種多様な公的IDが存在しています。免許証には性別が載っていないけれど写真は載っている、保険証には性別が載っているけど写真がない、というように、記載事項さえ統一されておらず、それぞれのデータを別々の役所が管理しています。多くの官庁がそれぞれに(税金から)予算を獲得して、自分たちだけのシステムを構築、維持しているのです。

 クレジットカードが多すぎると感じている人も多いですが、公的IDだってパスポートに免許証に保険証に基礎年金番号、さらに印鑑登録証と住基ネット……こちらも多過ぎるとは思いませんか? 国民一元番号を持つことの行政上、財政上の合理化効果は相当に大きいと思われます。

 加えてちきりんが国民統一番号制の実現を早々に目指すべきと思う理由は、それが電子投票制度のための環境整備として不可欠だと思うからです。

 もしも選挙の投票率が80%になったら世の中は完全に変わります。そして、自宅のPCや携帯からクリックするだけで投票ができるようになったら、投票率は大幅に上がるでしょう。というより、ちきりんはこれ以外の方法で投票率を上げることが可能だとは思っていません。これしかない、と思っているんです。

衆議院議員総選挙投票率の推移(出典:明るい選挙推進協会)

 そして電子投票制度を導入するには、1人が何度も投票していないこと、本当に本人が投票していることの確保が必要であり、その前提が「国民全員が1人ずつ固有の番号を持つ」という制度なのです。

 もちろん「それじゃあ、誰がどこに投票したかも分かってしまうのでは?」という人もいるでしょう。そういう人の頭の中には、国家の巨大コンピューターが個々の国民の行動記録をすべて収拾し、分析し、個々人を監視しているというような“国家管理社会”の恐ろしい未来図があるのでしょう。

 でも、ちきりんに言わせればそんなのは妄想です。現在までずっと行われている国勢調査だって、質問表を個別に自宅まで届けにきて、家族情報をすべて記載した回答用紙を近所のおじさんやおばさんが回収に来ます。それらのデータは最終的には電子化され、どこかのデータベースに保存されているのです。悪用しようと思えば今だって可能です。

 けれども、そうやって集めたデータが、国作りの基本データとして生かされているのです。情報管理のリスクだけを過大に考えるのではなく、そのメリットの大きさについてしっかりと考える必要があるのではないでしょうか?

 そんじゃーね。

著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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