金融危機回避期待から大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年09月16日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8668.86△150.29

<TOPIX>751.76△10.07

<NYダウ>11433.18△186.45

<NASDAQ>2607.07△34.52

<NY為替>76.70△0.08

欧州銀行に対する不安が薄れ、金融危機回避期待から大幅高

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想以上に増加、ニューヨーク連銀やフィラデルフィア連銀景気指数も芳しくなかったのですが、鉱工業生産指数は予想に反して上昇となり、景気動向に関しては手がかりに乏しい感じでした。ただ、欧州金融機関に対する懸念が増大しているなかで、ドル資金の供給を各国中央銀行が協調して行うということで、不安が薄れ株式市場は連日の大幅高となりました。金融不安が緩和されたことでリスク許容度が高まり売られすぎた銘柄などを買い直す動きとなりました。

 これで、欧州金融不安が払拭されたということではないのでしょうが、ひとまず過度な懸念は薄らいできたと思われます。いわゆる「リーマン・ショック」からちょうど3年という時期に何かあっては困ると各国中央銀行が対処したということなのですが、根本的な解決ということでもなく、折に触れて取りざたされるのだと思います。ただ、これで資金に対する不安が薄まり、足元の好調な企業業績がある程度持続するのではないかとの期待も出てくるのだと思います。

 個別には欧州金融機関に対する懸念が薄れ、欧州銀行株が大幅高となったことを受けて、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェース、シティグループなど金融株が軒並み大幅高となり、信用収縮懸念が薄れて原油価格が堅調となったことでエクソン・モービルやシェブロンなど石油株も堅調となりました。金融不安が薄れると足元の堅調な景気を見直すように景気敏感株も買われ、フォード・モーターが大幅高、キャタピラーやアルコアGE(ゼネラル・エレクトリック)なども堅調となり、インテルやIBM、アップルなどハイテク銘柄も高くなりました。ただ、引け後の発表で明暗が分かれるものもあり、TI(テキサスインスツルメンツ)は増配を発表して時間外取引で買われ、大幅減益を発表したRIM(リサーチ・イン・モーション)は大幅下落となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は欧州金融不安が一服となったことで米国株が大幅高、その流れを受けて買い先行となりました。ただ、いったん底堅さもみられたユーロが弱含みとなるなど円高傾向は変わらず、外国人も引き続き売り越し基調ということで買いも続かず、値持ちは良いものの上値の重い展開となりました。腰の据わった買いや上値を積極的に買い上がる動きはなく、買い方も限られているということで盛り上がりにも欠け、指数は大幅高ながらも閑散としていました。

 米国株高を受けて買い先行となりそうです。ただ、底入れ確認ということでもなく、3連休を控えた週末ということもあり、上値は重いのではないかと思います。ここのところの傾向として物色対象を絞って買われるということもなく、物色対象が絞り切れないなかで売られ過ぎの修正はみられるのですが、積極的に買い上がるような腰の据わった買いも入り難く、指数の上値も限られそうです。ただ、ここまで大きく売られ、足元の業績面から割安感が強まっている商社株などは買われるのだと思います。米半導体製造装置BBレシオが2年2カ月ぶりの低水準となったことや円高傾向は一向に変わらないことなどからハイテク銘柄などは上値も重そうです。

 8500円〜600円水準での底値固めが続いています。昨日も述べたように上値の節目である8800円〜900円水準を目指すには円高が止まる必要があり、これ以上の円高にならないということが確信できれば今度は上値の節目である8800円〜900円水準を抜けて、次の節目である9200円〜300円水準を目指すことになるのでしょう。円高が止まらないと金融不安は薄れたものの、まだ8500円〜600円水準での下値を試す動きもみられるのではないかと思います。

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