昨日の下落の反動もあって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月15日 16時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことで買い先行となり、一時大幅高となったのですが、徐々に上げ幅を縮小、あいかわらず腰の据わった買いも見られず指数が堅調な割に相変らず盛り上がりに欠ける相場展開となりました。景気鈍化懸念が払拭されたというわけでもなく、欧州金融不安が解決したわけでもなく、懸念材料は依然として多いことから買い切れないということなのでしょう。欧州や米国の金融対策、景気対策ばかりが言われていますが、日本では何の手も打てないところが買い切れない理由の一つだと思います。

 相変らず冴えない感じですが、欧州の「ソブリンリスク」などが取りざたされて世界的な景気鈍化懸念となっています。「リーマン・ショック」と言われた2008年の金融危機も想起され、また同じように金融危機から世界的なリセッション(景気後退)となることが懸念されているのでしょうが、当時は「100年に一度の危機」と言うことが言われており、たった3年で同じことが起きるとは考えにくいと思います。当時は1900年代初めの「大恐慌」と比較されたものですが、時代があまりにも違っていたことで「大恐慌」時の教訓や解決策が役立たなかったという言い訳はなりたつのですがたった3年のラグではそれも通用しそうもありません。

 「リーマン・ショック」が想起されるのであれば、世界が協調して防ぐ手立てを考えるべきであり、また、その予防も解決策も試す価値のあるものはいくつもあるのではないかと思います。当時はリーマン・ブラザーズなどが倒産し、巨額の資金を投入してAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)を救済したりして、いろいろなところに齟齬をきたし、世界的なリセッションに陥ったのです。ですから、当時の教訓を生かせば、自ずとギリシャをどうすればいいのか、独仏は何をすればいいのか、日米や中国はどのようなことが出来るのか、しっかりと対処することは可能ではないかと思います。

 日本でも何らかの対策、例えば「円安政策」を打ち出すとかじゃぶじゃぶの金融緩和を打ち出すという手が打てそうです。幸いなことに日本ではデフレ状態にあり、インフレへの懸念は少ないと思われ、その分復興増税ではなく、復興対策を含めて円高対策や景気対策を打ち出すべきではないかと思います。何も出来ずに手をこまねいていると日本だけが取り残され、日本だけが世界のなかでリセッション、デフレから脱却できないということになってしまいそうです。本当に、本気で日本の企業=国民の生活を考えた政治が行なわれているのか、はなはだ疑問です。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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