「タバコ1箱、700円」……軽すぎる&耐えられない閣僚の言葉相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年09月15日 21時20分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 野田新内閣が発足した(関連記事)。マスコミ各社の世論調査では、60%前後の支持率を集め、数字の上では順調な滑りだしとなった。だが、小宮山洋子厚生労働相の不用意な発言が飛び出し、「閣内不一致」という不名誉な見出しが躍ったのも事実(参照リンク)。筆者のみるところ、厚労相発言は「閣内不一致」以前のあまりにも稚拙な行動に映った。軽過ぎる閣僚の存在について触れてみる。

「700円」発言の耐えられない軽さ

 「最低でも700円ぐらいまで引き上げるべきだ」――。

 9月5日の小宮山大臣会見の様子をテレビで見た直後、筆者は空いた口が塞がらなかった。筆者自身は喫煙歴20年超のスモーカーである。この発言を「取りやすい所から取る」と受け止め、憤りを感じたわけではない。そのあまりに不用意な発言にあきれたからなのだ。

 同相発言を受けた他閣僚の発言をみてみよう。

 「個人的な思いを述べられたものだ」(6日、藤村官房長官)

 「ご高説は承っておく。所管は私だ。小宮山先生はタバコ嫌いなんですよね」(6日、安住財務相)

 「タバコだけを抜き出して議論することはバランスを欠いている」(同)

 官房長官、財務相の嫌味が飛び出したほか、閣内不一致との批判が渦巻いたことで、小宮山大臣は発言のトーンを変えた。

 「(厚労省は)700円に上げると決める省ではない」

 「個人的見解というよりは厚労省を代表して申し上げた意見だ」

 釈明を聞き、筆者は再度あきれた。世間で閣内不一致と指弾された問題の本質を全く理解していない上に、政治家として、あるいは閣僚としての配慮が欠如していたからに他ならない。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.