欧州金融不安を織り込み、値ごろ感からの買いが入り堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年09月14日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8616.55△80.88

<TOPIX>749.82△8.56

<NYダウ>11105.85△44.73

<NASDAQ>2532.15△37.06

<NY為替>76.93▼0.67

欧州金融不安を織り込み、値ごろ感からの買いが入り堅調

 欧州金融不安は依然として強いのですが、欧米の金融機関に対する懸念が薄らいだことやギリシャ債務問題などに何らかの対策がみられるのではないかとの期待もあり、堅調となりました。ドイツ首相がギリシャ支援に前向きと示されたことも金融不安の後退につながり買戻しを急ぐ動きもあったものと思います。ただ、金融不安からの信用収縮、景気鈍化懸念も根強く、ドルやユーロも引き続き軟調となっており、積極的な買いはみられず、上値も限定的となりました。

 先日来述べているように引き続き、ギリシャ問題や米国でのMBS(住宅ローン債権)問題などから金融機関に対する懸念が根強く、そのことが信用収縮につながり、信用収縮となると設備投資や個人消費の減退につながるということで景気鈍化懸念が強まっているのだと思います。どうしても「リーマン・ショック」といわれたサブプライムローン問題に端を発した景気後退が頭にあり、金融不安が払拭されるまでは上値の重い展開が続くと思われます。

 個別には最高経営責任者(CEO)が事業構造改革を加速する姿勢を示したことでシスコシステムズが堅調、新型の高機能携帯電話への需要の強さがアナリストによって予測されたアップルが堅調、連れてインテルやIBM、デルモも堅調となるなどハイテク銘柄に高いものが見られ、ナスダック指数の大幅高につながりました。時間外取引でもデルは自社株買いを発表して買われ一段高となっています。金融不安は一段落となったものの銀行株はまちまちとなり、バンク・オブ・アメリカは軟調、JPモルガン・チェースは堅調となりました。景気鈍化懸念は根強いものの、売られすぎということもあてキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーター、アルコアなど景気敏感株も総じて高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や前日の大幅安の反動にユーロ安が一服となったことから買いが先行、円高気味となったことや外国人も引き続き売り越しと伝えられたこともあり、寄り付きの買いが一巡となった後は上げ幅を縮小、上値の重い展開となりました。それでも後場に入ってからは値持ちの良さを好感して買い戻しを急ぐ動きなどもあり、円高気味にもかかわらず輸出株が買われるなど総じて堅調となりました。

 米国市場が堅調となったことで日本市場も堅調な展開が期待されます。ただ、欧州金融不安が完全に払拭されたということでもなく、各国の画期的な経済対策や金融政策がみられたということでもなく、金融不安や景気鈍化懸念は根強く、上値も重いと思われます。売られすぎ銘柄の修正などはみられるのでしょうが、積極的に上値を追うだけのテーマも材料もなく、復興関連銘柄などは買いやすいのかもしれませんが物色も限定的となりそうです。

 日経平均8500円〜600円水準での底堅さは確認されつつあるようです。欧米でも値ごろ感が出ているものが多いように日本市場でも売り難くなっているものも見られ、底堅さを確認して売られ過ぎの修正が行われるということで、指数も底堅さがみられると思います。ただ、為替が円高水準で落ち着いてしまっていることで、上値も限られそうで、まだ上値の節目である8800円〜900円水準を目指すというよりは8500円〜600円水準での底堅さを確認するという段階なのでしょう。

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