円高にもかかわらず買戻しを急ぐ動きもあって堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月13日 16時08分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が乱高下ながらも堅調となったことやユーロ安が一服となったことなどから買いが先行、大幅高となりました。ただ、買い戻しが中心で積極的に買い上がる動きが出ているということでもなく、上値も限定的となる場面もありました。足元の業績面からは売り急ぐという雰囲気でもなく、目先の下落が止まると買い戻しを急ぐ動きも出てくるのだと思います。割安感が強く売り難い状況だけにちょっと下落が止まると買われるということもあるのだと思います。

 これだけ相場が低迷すると信用取引での「追い証」などを心配しなければならないことも多いと思います。証券会社のディーラーの中には必ずその日のうちに決済をしなければならないルールで取引をしている向きもあり、そうした「追い証」というようなリスクを回避するような手立てをしている場合もあります。このように常に投資をする上では「リスク」と向き合う必要があるということでしょう。株式投資やFXの投機などでもやはり必ず「リスク」を回避する手段を講じることが必要なのではないかと思います。

 極論を言えば、リスクをコントロールすることが利益をしっかりと確保する道という見方も出来ると思います。前述したように「売買のタイムラグ」や情報の「抜け」を回避するということも一つの手でしょうし、銘柄を分散する、時間を分散するなどというのも一つの方法なのだと思います。これだけ大きな動きとなる相場では信用取引で短期の取引と割り切っても大きな損が出てしまうことがあります。ですから、特に信用取引等のように「保有コスト」がかかる場合などは短期なら短期と割り切った投資=投機が必要ということでしょう。

 信用取引で30%の評価損を出していることを考えると、3%ずつ10回損をすることが出来たというように見方を換えることもできます。つまり、3%の「ロスカット」を実践していれば、今の状況になるには利益がゼロで10連敗しなければならないということなのです。途中3%の儲けが1回あったとすると11回の損で、今と同じ30%の損ということになるのです。現在のように取引コストが下がっている時はそうしたリスク管理の仕方もあるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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