景気対策も材料視されず大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年09月12日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8737.66▼55.46

<TOPIX>755.70▼1.71

<NYダウ>10992.13▼303.68

<NASDAQ>2467.99▼61.15

<NY為替>77.57△0.08

欧州金融不安が信用収縮につながり、景気対策も材料視されず大幅安

 欧州での金融・財政問題が波乱含みとなったことから金融不安が強まり、信用収縮の手仕舞い売りや見切り売りが嵩んで大幅下落となりました。週末の手仕舞い売りやヘッジ売りも下げを加速させる要因となったものと思います。米大統領の景気対策も議会との調整が難航するのではないかとの見方から、景気・雇用改善効果を疑問視する向きもあって買い材料とはならず、相場の下支えとなりませんでした。金融機関に対する懸念も根強く、資金の出し手がいなくなるのではないかと恐怖感に駆られて売り急ぐ動きもあったものと思います。

 FRB(連邦準備理事会)や政府に対する期待はあるものの、欧州での金融不安が資金の手仕舞い=供給不足につながるのではないかとの懸念が根強く、金融の混乱を嫌気する動きとなったものと思います。G7会合もほとんど効果はなく、引き続き金融機関に対する不安があるうちは信用収縮の動きが続くものと思います。景気対策・雇用対策も良いのですが、金融機関が資金の出し手としてしっかりと機能するように各国の中央銀行や政府が示すことが必要ではないかと思います。資金の潤沢な供給が続くことが確認されれば売り急ぐ動きも止まると思われ、企業も投資を進め、個人も消費を続けることで景気対策にもなると思います。

 個別には人員削減の話題が出たバンク・オブ・アメリカが大幅安、金融機関に対する懸念が根強いことからJPモルガン・チェースやシティグループ、アメリカン・エキスプレスなど金融株が軒並み大幅安となりました。景気対策は示されたものの、期待以上のものが見られなかったことや実現まで紆余曲折があるのではないかとの見方からアルコアやモンサントなどの資源株を含めたキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感銘柄は軟調となりました。TI(テキサスインスツルメンツ)は収益見通しは引き下げたものの、好調な業績が好感されて小幅高、連れてインテルは底堅さが見られました。信用収縮のなかで原油先物など商品相場も軟調で、シェブロンが大幅安、エクソン・モービルも軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株が大幅下落となった割には底堅い展開となりましが、一方で上値も重く、経済指標の発表なども多くみられたのですが反応仕切れず、小動きとなりました。最後は週末の手仕舞い売りもあって軟調となりましたが、外国人も買い越し基調となったことや各国の金融政策、景気対策などもみられ、世界的な景気鈍化懸念や金融不安も薄れて底堅さも見られたのだと思います。

 米国市場への反応が鈍くなった日本市場ですが、先週末の米国市場が大幅安となったことや対ユーロで円高が進んだことから売り先行となりそうです。シカゴ市場(CME)の日経平均先物も週末の終値の理論価格よりも大きく下落となっており、下値を試す動きとなりそうです。ようやく底入れ感が出て来つつあった主力銘柄の中には大きく下落するものも出て来るのではないかと思います。G7でも世界的な景気鈍化に対する有効な施策は見られず、売られ過ぎということで底堅さがみられるかどうかといったところです。内需関連銘柄の値動きの良い銘柄が幕間つなぎ的に買われるのでしょうが、総じて売り先行となりそうです。

 日経平均の節目とみられる8800円〜900円水準での上値の重さを確認したところで米国株が大幅下落となり、日本市場でも再度下値の節目である8500円〜600円水準を目指すことになりそうです。8600円前後では下げ止まるものと思いますが、足元の好調な業績に反応する前に業績が悪化するのではないかとの懸念も根強いことから、割安感が強いからといって物色されることではないのだと思われ、指数の上値も限定されそうです。一方で既に売られていることで売り一巡感も出ており、案外底堅さもみられるかもしれません。

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