「消費税は低所得者に厳しい」ってウソだと思うちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2011年09月12日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

本当に消費税は貧乏人に不利!?

 ところが消費税を倍の10%にするのは、そんなに難しくありません。3倍の15%、4倍の20%でさえ実現可能です。特に、倍の10%にしたくらいでは「消費が海外に移る」ということは、ほぼ考えられません。

 西欧諸国の消費税(付加価値税)は大半が15%以上、米国も10%前後の州が多く、先進国レベルの福祉制度を維持したいなら、それが世界標準と言えるのです。

諸外国における付加価値税(消費税)の標準税率の推移(出典:財務省)

 それでも消費税増税に反対する人が常に掲げる理由は、「消費税は逆進性が高い」というものです。「消費税は金持ち優遇だ。貧乏人ほど負担が大きい」と彼らは批判します。

 けれどちきりんは、これも「本当にそうなの?」と疑っています。食品や薬、医療関連費の税率を下げるなど、逆進性をコントロールする方法は整っています。「消費税は貧乏人に不利で金持ちに有利だ」というのは、教科書的な理論にすぎません。

 お金持ちにも企業にもさまざまな「節税対策」があり得ます。けれど、彼らがヨットや宝石を買ったり、高級ホテルで1人数万円もの食事をしたりすれば、消費税をどっさり払う必要があります。所得税と法人税の節税方法はいくらでもありますが、30万円のコートを買ってその消費税をごまかせる個人は、恐らく存在しないです。

 同様に、大企業も法人税はあの手この手で節税できますが、豪華なオフィスの施設費用や業務経費にかかる消費税を節税する方法はほとんどありません。

 所得税は、働かずに食べていける高齢者などのお金持ちより、働いている庶民の方が実質的に多く払う場合があるし、法人税についても、すごくもうかっているように見える大企業がほとんど払っていない場合もあります。

 けれど消費税は、まず間違いなくお金持ちの方が貧乏人よりたくさん払うことになります。この意味で、「消費税の逆進性が高い」というのが、私には嘘に見えるのです。

 また、消費税増税ができず、税収が足りなければ政府は行政・福祉レベルを切り下げます。それで困るのも、金持ちではなく、貧乏な人の方でしょう。庶民にとって一番トクなのは、「消費税増税に賛成! ただし、食品や医薬品は非課税に!」と主張することなのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.