週末の手仕舞い売りもあって軟調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月09日 16時11分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 昨日は米国株高に反応し切れず、本日は米国株安に反応しないという状況です。世界的な景気鈍化懸念や金融不安、そして円高傾向にあるということなど株式市場に好材料となるものは少なく、週末のイベントを気にしながら手仕舞いの動きで上値も重いのですが、逆に買い戻しの動きもみられ底堅く、指数は方向感に乏しい展開となりました。昨日の機械受注統計や工作機械受注などが芳しくなく、今朝発表されたGDP(国内総生産)の改定値も予想されていたとはいえ、下方修正となるなど大震災の影響から順調に回復してきた企業業績の先行きに対しての懸念もでており、割安感がでていても素直に買い切れず冴えない展開となりました。

 今週は世界的に金融政策や景気対策などの政策に注目される週になりました。日銀の金融政策決定会合をはじめ、ECB(欧州中央銀行)総裁の講演や米FRB(連邦準備理事会)議長の講演や米大統領の景気対策などがみられましたが、決定的な世界的な金融の混迷を打破するようなこともなく、まだまだ景気鈍化懸念と金融不安を抱えたままの動きとなりそうです。週末のG7の結果も株式市場ではそれほど期待することもなく、ユーロの落ち着きや金融不安に対する懸念払拭となるのかどうかを見極めるということなのでしょう。

 金融政策や景気対策も即効性があるというものも少なく、「何か手を打つ」ということがなのだと思います。先週末に注目されていたFRB議長の講演では最後は「FRBが何とかしてくれる」という雰囲気になり、株価も底入れとなった感もあり、景気に対しても不安が少なくなったのだと思います。一方でECB総裁はユーロ安政策をとることが懸命と考えたわけでもないのでしょうが、利上げ打ち止めを表明することでユーロが軟調なりました。ただ、ユーロが安くなるとドイツやフランスの輸出企業が潤い、その結果、ドイツやフランスがギリシャなどに支援することが可能になるという筋書きではないかと勘繰られます。

 日銀や日本政府は円売り介入をするのにも各国の顔色をうかがいながらということで、ろくに介入することも、円安政策を進めることも出来ないまま、ここまで円高が進みました。何度もこのコラムで述べているように円高を容認するのであれば円高でうまく立ち回れるような政策をとるべきであるし、円安にして従来のように海外での収益を期待するのであれば何らかの円安に振れるような施策を行なうべきだと思います。介入だけが円安にするものでもなく、日本の方向性を定めて、いろいろな角度から為替政策などを考えるべきではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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