大幅高の反動やFRB議長講演への失望、雇用への懸念が強まり大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年09月09日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8793.12△29.71

<TOPIX>757.41△3.78

<NYダウ>11295.81▼119.05

<NASDAQ>2529.14▼19.80

<NY為替>77.49△0.28

前日の大幅高の反動やFRB議長講演への失望、雇用への懸念が強まり大幅安

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を上回り、雇用への懸念が強まり、前日の大幅高の反動もあって売り先行となりました。FRB(連邦準備理事会)議長の講演を前に買い戻しを急ぐ動きもあり、堅調となる場面もみられましたが、特に金融緩和=QE3(量的緩和)などに具体的な言及がなかったことなどから失望感も強まり、手仕舞い売りや見切売りに押されて大幅下落となりました。金融不安がくすぶっているなかでFRBに対する期待も根強く、金融政策が具体的に示されなかったことで失望感が出たということでしょう。

 引き続き不安定な相場が続いているということだと思われます。「FRBが何とかしてくれる」という期待は根強いのですが、実際に何をしてくれるのか、効果はあるのかと懸念する向きも多いのだと思います。根底には欧州での金融不安が世界的な景気鈍化につながるのではないかとの懸念もあるのだと思います。資金の出し手である金融機関に対する不安が払拭されるまでは不安定な相場が続くのだと思います。

 個別には買収の思惑からヤフーが大幅高、連れてマイクロソフトやグーグルなどは堅調となりました。金先物価格が騰勢を強めたこともあり、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングが52週高値を更新、堅調となりました。インテルやIBMなどハイテク銘柄の一角やキャタピラー、GE(ゼネラル・エレクトリック)といった景気敏感株は大きく下げることはなかったのですが、前日の反動もあって総じて軟調、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスなどは金融不安を蒸し返すように大幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅高となったことから買い先行となりましたが、円高気味であることや朝方発表された機械受注統計が芳しくないことなどから上値も重くなり、一時軟調となる場面もありました。外国人もおよそ1カ月ぶりに買い越しと伝えられたのですが特に材料視されることもなく、先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を前に冴えない展開となりました。欧米では景気対策や金融緩和、為替対策などが好感されたのですが、日本では何の対策もみられないことが嫌気された面もありそうです。

 本日の日本市場は米大統領の日本時間8時からの演説などを気にしながらの動きとなりそうです。寄り付きは先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出がありますが、これだけでは特に問題視されることもないと思われます。また、寄り付き前にGDP(国内総生産)の改定値も発表され、米大統領演説の為替への影響ともども相場変動要因となりそうです。また、午前中だと思われますが、中国の経済指標の発表もあり、景気鈍化懸念が強まるのか、それとも順調な景気拡大を示すことになるのか、これもまた市場への影響はみられそうです。いずれにしてもG7を控えた週末に加えてイベント目白押しで、波乱含みの展開となりそうです。

 米国株安から下値を試す動きとなりそうですが、先に述べたような相場に影響を与えそうなイベントも多く、市場で好感される状況となれば8800円〜900円の節目を試すことになるのでしょうし、市場への悪影響となれば、下値の節目である8500円〜600円水準を試すような動きになるのでしょう。少し先を見ても、金融機関に対する懸念が払拭されるまでは多少の景気鈍化懸念が薄れても、9200円〜300円水準までの戻りとなるのかもしれません。

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