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» 2011年09月08日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:電力料金値上げの前に……「ありがとう」を伝えてほしい (1/3)

火力発電を増やすことを理由に、電気料金の値上げ申請を検討しているという東京電力。しかし、その前に東京電力にはやるべきことがあるのではないか、と筆者は主張。同じく国策会社のJALの経営姿勢と比較する。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 2011年7月1日から発令されていた電力使用制限令が、東日本大震災の被災地などで9月2日に解除された。東京電力と東北電力管内は9月9日に全域で解除される。解除日が予定より2週間も繰り上げられたのは、企業にも鉄道会社にも、めぐりめぐって消費者にも朗報である。

 前倒し解除のワケは、企業や家庭全体の節電実績が7月=前年同月比20.4%減、8月=同21.9%減(28日までの実績)と目標の15%を大幅に上回ったから。盆明けから一気に涼しくなったせいもあるが、何よりも1社1社、ひとりひとりの節電の取り組みがあったからこそ達成できた。家庭では去年に比べて2〜3割減ったという世帯も多い。

 節電達成のウラにはみんなの大小長短の知恵や努力があった。後世のためにもランダムに挙げてみよう。

  • エアコンから扇風機へ(本連載ではGreenFanも取り上げた)
  • 照明器具の消灯や取り外し(暗い街、暗い地下鉄に慣れた)
  • エレベータの間引き(イラチはイカンと自分をなだめた)
  • 16時終業(立ち飲みがにぎわった)
  • 節電クールビズ(やっぱりイマイチでした)
  • 節電ポスター(秀逸なものが多かった)
  • 製造業の平日休業、土日操業(ごくろうさまでした)
  • 電車の間引き運転(混んだときはつらかった)
  • 自販機冷却の輪番停電(冷えていないコーラなんて……)
  • 緑のカーテン(ゴーヤはどうも好きになれない)
  • 浴衣で出社する女子(もっと増えてもよかった)
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 節電対策ではないけれど、東北の野菜、福島の産品も買った。みんながガマンし、投資をして、ボランティアもして、危機を乗り切るために手を差しのべた。だから1974年以来、37年ぶりの電力使用制限令は短期で解除された。

 ところが東電は電力料金を15%も値上げ申請するという。1家庭平均月額1000円のアップ。燃料費の高騰、電力事業収支悪化で仕方ないとは思う。1974年のオイルショック時の50%値上げよりはマシ。でも恩をあだで返すというか、手を差しのべてかまれたような……。

 東電に足りないと思うことがある。伝わってこないものがある。それは“感謝”である。

ah_arigato03.jpg 街で見かけました
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