欧州株安や金融不安から信用収縮の動きが強まって大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月06日 16時07分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国市場は休場だったのですが、欧州株式市場が大幅下落となったことが嫌気されて売られ大幅安となりました。金融不安からユーロが売られたこともあり、主力銘柄を中心に手仕舞い売り、見切り売りが今日も続き、連日の大幅安となったということです。金融不安による信用収縮の動きと、世界的な景気鈍化懸念による売りが重なるということで大きな下げが続いているということなのだと思います。

 昨日もこのコラムで述べたように、世界的な景気鈍化懸念と金融機関に対する懸念が強まったことで下げがきつく、日本市場へも再度波及する格好となったものと思います。世界的に資金の出し手である金融機関が不安にかられ、金融機関同士の資金融通が出来なくなると個々の金融機関が貸出資金の回収に走り、ちょうど「リーマン・ショック」の時のように、世界的な資金の逆スパイラル=信用収縮の流れになって、ありとあらゆる市場で下落となってしまうことになります。

 「リーマン・ショック」の時も金融機関の資金繰りがタイトになって、市場が景気を下押した感もありましたが、今回も資金の供給が滞り企業が投資を控え、リストラを進め、賃金の引き下げを行なうようなことがあれば、2008年−2009年の再来となってしまうでしょう。ちょうど、ということでもないのですが、今週は日銀の金融政策決定会合に始まり、欧米でも中央銀行の会議や政府首脳の講演などもあり、「景気対策」というよりは資金の流れを復活させるような「信用供与」が示されるのかどうかが注目されることになりそうです。

 資金の供給が一番大切ということであり、資金が金融機関に潤沢に供給されれば企業も安心して投資が出来、企業がリストラをすることがなければ個人消費も伸び、金融機関がファンドなどにも貸し出しをすれば、投機的な資金が商品市場などに張り込み、さらに企業の投資を活性化させるということになるのだと思います。要は企業にしろ個人にしろ、投資ファンドにしろ、安心してお金が使えるのかどうかと言うことに、今後の世界経済の動向がかかっているのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.