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» 2011年09月06日 12時00分 UPDATE

コンビニ、ヒット商品の理由:レッドブルが売れているワケ (1/2)

2005年に日本に上陸して以来、徐々にファンを増やしている『レッドブル エナジードリンク』。日本参入当初、医薬部外品としての認可が取れずに、炭酸飲料として売らざるをえなくなったことが逆にブランドの拡大に貢献したと筆者は主張する。

[笠井清志,Business Media 誠]

「コンビニ、ヒット商品の理由」とは?:

限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。


 栄養ドリンク市場に新たなヒーローが出現している。『レッドブル エナジードリンク』である。F1のスポンサー企業や各種スポーツイベントの主催者として、企業名と赤い牛のトレードマークを見たことがある人も多いだろう。都内の道路では、BMWのレッドブルカーが走っている姿も目につく。

ah_kasai1.jpg レッドブル エナジードリンク(出典:Red Bull Japan)

医薬部外品の認可が取得できなかったことが逆にメリットに

 レッドブル エナジードリンクが日本に登場したのは2005年のこと。日本への参入に当たっては、クラブやバーといった場所での販売から始めた。その後、コンビニ最大手のセブン-イレブンに採用され、テレビCMもスタートした。

 レッドブルが日本に参入して成功した要因の1つに、この販売チャネルの絞り込みが挙げられる。おしゃれな栄養ドリンクとしての位置付けをキープするため、スーパーやGMS(イオンなどの大型スーパー)などに販売チャネルを広げずに、コンビニのみの販売に絞り込んだのである。

 これは花王の『ヘルシア』と同じチャネル戦略。コンビニでの販売だと値引き競争に巻き込まれることが少なく、ブランドイメージをキープすることが可能だからである。

 また、コンビニの中での商品登録にも隠れたヒット要因がある。レッドブル エナジードリンクは日本では医薬部外品の認可が取得できなかったため、“炭酸飲料”と商品登録されている。

 医薬部外品といえば『リポビタンD』など、小容量のびんで比較的高単価で販売されているカテゴリーとなる。レッドブル エナジードリンク(250ミリリットル)の販売価格も当初は275円と高単価だったので、消費者からすると「飲めば元気になる新しい栄養ドリンク」という位置付けだっただろう。

 しかし、商品登録が医薬部外品ではなく、炭酸飲料になったことが結果的に良い効果をもたらすこととなった。医薬部外品にはリポビタンDのほかにも『ユンケル黄帝液』『アリナミン』などの強力ブランドがあり、新規商品が参入するには厳しい市場になっていた。

 ところが、炭酸飲料と商品登録されたおかげで、コンビニの販売スタッフは、一般飲料として陳列を行ったのである。医薬部外品だとコンビニに入って最初に目に入る冷温什器に陳列されるが、炭酸飲料(一般飲料)だとコーラや緑茶などと一緒のリーチイン(冷蔵ショーケース)に展開されるのである。結果として、一般消費者に「新しい飲料が発売された」「これがテレビCMが放映されていた商品か」と認識してもらうことに成功したのだ。

 ちょっとおしゃれな栄養ドリンクとして認識されたレッドブル エナジードリンク。コンビニスタッフは「とてももうかる商品」と認識したため、積極的にフェイス(陳列)拡大を行い、さらなるヒットにつながった。医薬部外品として登録されていたら、大きなフェイス展開はできず、これほどまで成功しなかったと想像する。

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