雇用統計の悪化や金融機関のMBS問題から売られ大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年09月05日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8950.74△105.60

<TOPIX>778.28△7.68

<NYダウ>11240.26▼253.31

<NASDAQ>2480.33▼30.45

<NY為替>76.79▼0.14

雇用統計の悪化や金融機関のMBS問題から売られ大幅安

 朝方発表された雇用統計が予想を大きく下回り、雇用増加がゼロと報じられたことが嫌気されて売り先行となり、大幅安となりました。加えて住宅バブル期に組成・販売した住宅担保証券(MBS)の質を不当に評価したとして提訴されて金融株が軒並み大幅下落となり、指数の下げ幅を広げる格好となりました。為替は特に大きな動きはなく、信用収縮となったということでもないのでしょうが、米国景気もFRB(連邦準備理事会)や政府の施策だけではいかんともしがたいのではないかと懸念が強まって売り急ぐことになったものと思います。

 予想以上の雇用情勢の悪化に戸惑い、3連休を控えた週末ということもあって下げ幅拡大となったものと思います。加えて金融機関のMBSの問題がここへ来て取りざたされ、「リーマンショック」と言われた金融不況時の様相が想起されて売り急ぐ動きとなったものと思われます。景況感の悪化というよりは改めて雇用の厳しさを見せ付けられたということなのでしょうが、今後は政府の雇用対策に期待する動きも出てくるのだと思います。

 個別には米連邦住宅金融局(FHFA)の提訴を受けてバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスなど金融株が軒並み大幅下落、原油先物の下落を受けて、シェブロンなど石油株も軟調となりました。金先物価格は上昇し、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドは堅調、景気鈍化懸念が強まり、キャタピラーが大幅安、GE(ゼネラル・エレクトリック)が軟調、インテルやIBMなどハイテク株が軟調となるなど景気敏感株は総じて軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株が大幅安となったことや円高気味ということで売り先行となりました。米雇用統計の発表を控えた週末ということもあり、手仕舞い売りやヘッジ売りも多く大きな下げとなりました。底堅さが見られる場面もあったのですが、買戻しを急ぐ動きも、買い上がる材料もなく、売られすぎの修正で戻していた値がさハイテク銘柄などを中心に大幅安となりました。新内閣の顔ぶれも伝えられましたが特に材料視することもありませんでした。

 週末の米国市場が大幅下落となったことから日本市場も売り先行、大幅安となりそうです。為替には大きな動きはないのですが、日本でも米国の景気鈍化懸念が強まったことや金融機関の問題も、「リーマン・ショック」といわれた株価の急落を想起させることになるものと思います。それでも先週末もすでに大きく売られていたこともあり、下げ幅も限定的となりそうです。為替の影響の少ない内需銘柄、世界的な景気動向に左右されないようなディフェンシブ銘柄などが幕間つなぎ的に物色されるものと思います。

 再度節目とみられる8800円〜900円水準を目指すことになりそうです。為替がさらに円高に進むようであれば売りが加速されて、さらに次の下値目処とみられる8500円〜600円水準を試すようなことになってしまうのでしょう。逆に円安に振れるようなことになれば、週末の大幅下落の反動もあって底堅い展開となってくるものと思います。当面は世界的な景気鈍化懸念が根強いうちは10000円に届かないどころか、折に触れ下値を試す場面もでてしまうのかもしれません。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.