円高を嫌気する動きや週末の手仕舞い売りに押されて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月02日 17時07分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株の影響は少なくなっていますが、米国株が大幅下落となったことや米国での主要な経済指標の発表を控えた週末ということで売り先行となりました。外国人も引き続き売り越し基調と伝えられましたが、寄り付きの売りが一巡となると戻りを試す展開となるなど底堅さもみられました。為替が円高気味ということで昨日までしっかりと売られ過ぎの修正となっていた輸出株等を中心に手仕舞い売りや見切り売りに押され、大幅安となる場面もあるなど冴えない展開となりました。新内閣の顔ぶれが決まりましたが、特にサプライズもなく株式市場では材料視されることもありませんでした。

 先日もこのコラムで述べたのですが、特に材料もないなかで大幅安と、大幅高となる銘柄が多く見られます。値上がり率や値下がり率の上位銘柄をみながら「何故こんなに買われるのだろう」「何でここまで売られるのだろう」と首をかしげることも多くなっています。ニュースやファンダメンタルズなどに反応するというよりは値動きに反応することが多いことが原因だと思います。

 先日来、このコラムでも先物や為替の「システムトレード」の話をしていますが、実際に市場の中ではいわゆる「アルゴリズム取引」などと言われるような、値動きなどに反応して売り買いするようなものが多く見られます。以前と違い、売買コストが非常に安くなったことで、ちょっとした値動きで利益が出ることから「ちょっとした利益」を積み重ねることに重きが置かれているということだと思います。

 例えば1カ月で20%の上昇を期待するよりも1%ずつ20回、あるいは0.1%ずつ200回取る方が簡単だと考えるということです。そしてその1%を取るということでも、1%ずつ9回損をして1%ずつ10回儲かるとつまり10勝9敗で1%取ることを20回繰り返すと20%の利益になるという考え方になるのです。ですからそうした売買が一方向に向かって積み重なることで特に理由がないなかで大きな動きとなったりするのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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