目の前の人はあなたの等身大の姿吉田典史の時事日想(1/2 ページ)

» 2011年09月02日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 「自分はこんな職場で終わるはずじゃない!」と焦るものの、上手くいかない。私の観察では、こういう人は特に30代半ばまでの会社員に多い。それより上の年になると、多数の人が「まあ、仕方がない。これが自分の人生」とあきらめていくものだ。

 今回は、30代半ばまでで志は高いが、思い描いたように進まない人に参考になる事例を紹介したい。結論から言えば、他人とか会社、上司うんぬんに不満を述べるよりも、まずは自分の力を上げることが最優先。力が上がれば、次第に周囲の環境は変わっていくことを伝えたい。

 そんなことを痛感した経験を紹介しよう。私は先日、新宿の居酒屋で25人が参加する懇親会を開いた。そこには、取材でお世話になっているコンサルタントや社会保険労務士、さらに同業者であるライターや漫画家などが参加した。さらにFacebookで知り合ったデザイナーやダンススタジオの経営者、会社員などが加わった。

会社員が勘違いしやすいこと

 こういう場を通して互いに知り合うことで、さらなる仕事やプライべートなどに結び付けてほしいと願い、企画した。ただし、誰でもいいから呼ぼうとは思っていなかった。むしろ、厳しくセレクトした。職業は、コンサルタントや個人事業主にあえて絞った。会社員は、管理部門や営業など経営に直結している部署に籍を置く人にした。実はそれ以外からもエントリーがあったが、断った。

 さらには、それぞれの参加者のフェーズ(成長のステップ)が重なることを意識した。私の持論なのだが、人と人とがビジネスにしろプライベートにしろ、付き合いが上手くいくためには、力とか実績などの釣り合いが絶対に必要だと思う。

 例えば、コンサルタント20年目の人とわずか数年の人とではなかなか上手くはいかない。表向きは親しく話をしても、いざ仕事をすると、双方の経験や知識、ノウハウに差があり、スムーズに進まない。そのような現実を見すえることなく仕事を続けると、大体、人間関係のトラブルに発展する。

 ……ということを、コンサルティング会社の経営者などから耳にする。そこでコンサルタントでいえば15〜25年目くらい、個人事業主もそのくらいの人に絞った。会は3時間だったが、比較的、スムーズに進んだように思えた。

 多くの読者は「そんなことはできる。社内の忘年会で幹事をした」「異業種交流会を開き、50人を集めた」などと反論するかもしれない。実は私は会社員のころ、それと同じような考えだった。

 私が会社を離れ、フリーになったのは2005年の暮れ。その前年(2004年)に、会社の経費で会を開き、25人が集まる会を催した。その人たちは、当時の取引先だった。私は30代半ばだったが、「幹事として25人を集めるのは簡単」と思った。社内で人を集められない人を見ると、「要領の悪い奴」と思っていた。

 それから7年が過ぎた。自信を持って言えるが、こういう考えは思い上がりだ。視野の狭い、幼稚な会社員の典型でしかない。当時25人集まったのは、私の人望ではない。そのメンバーは私が勤務していた会社と取引があるから、忘年会に来ただけのこと。当時の自分は勘違いしていた。それを理屈では理解していても、本当の意味では分かっていなかったのだ。

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