為替ニュースが難しい……まずは三大通貨の関係を理解しよう南はるなのFXのヒミツ(1/3 ページ)

» 2011年09月01日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

著者プロフィール

南はるな(みなみ・はるな)

株式会社マネックスFXでマーケティング部長を務める。アパレル業界でファッションを学んだ後、しばしの海外生活中に利用したインターネットの利便性に衝撃を受け、帰国後の2001年にアマゾンジャパン株式会社に入社。カスタマーサービス部門を経て、マーケティング部に異動。アフィリエイト・プログラムの運営など、オンラインマーケティング業務に従事。2009年にマネックスFXに入社、同年10月より現職。主にマーケティング企画やPRを担当。金融初心者である自身の経験を踏まえ、初めて投資を検討する人にも分かりやすい情報提供を行うべく、日々奮闘中。


 史上最高値水準での推移を続けている円相場と、米国の景気先行きに関する話題が連日ニュースで取り上げられています。8月5日には、米国の長期国債の格付けが最上級のトリプルAから格下げされ、9日には米連邦準備理事会(FRB)が2013年半ばまではゼロ金利政策を継続すると表明しました。米国の景気回復への失望感が米ドルを売る動きにつながり、結果的に円高へとつながっています。米国景気の回復への道すじは示されたとはまだ言い難く、少なくとも投資家が楽観的な印象を持つまで、しばらくはドル安・円高が続くのかもしれません。

 長期国債、格下げ、ゼロ金利、円高……表面的な言葉を理解したとしても、それらが為替市場でいったいどういう意味を持つものなのか、なかなか実感しづらいと思います。特に、米国の景気がどのように日本の円高に結びついているのかについては、世界の基軸通貨である「米ドル」「ユーロ」「円」(世界三大通貨)の関係が理解できると、グッと分かりやすくなると思います。

基軸通貨になったのは米ドルと英ポンドのみ

 基軸通貨とは、国際的な決済手段として広く使用されている通貨のことを言い、いわば為替取引の中心的存在です。歴史をひもとくと、過去に基軸通貨となった通貨は米ドルと英ポンドの2つのみで、英ポンドが基軸通貨であったのは第2次世界大戦のころまで。

 第1次・第2次世界大戦以前の英国は世界最大の輸出国であり、国際的な金融の中心地でもありました。しかし、戦争によって欧州全体が経済的に疲弊していったのと同時期に、軍事需要によって輸出量を伸ばした米国の経済が急成長したことから、次第に世界の決済通貨は米ドルへと移行していったのです。以降、現在に至るまで米ドルは世界最大の取引高を保っています。

 基軸通貨である米ドルは、一見して米ドルが関係してないように見える取引でも、実は取引を仲介する役割を担っています。例えば、私たちが「豪ドル/円」の取引をする際に、そこに米ドルの存在を意識することはないと思いますが、裏側では2つの通貨をつなぐ役割を果たしています。「豪ドル/円」の取引は、一旦、円で米ドルを買い、米ドルで豪ドルを買うことで成り立っていますから、「米ドル/円」と「豪ドル/米ドル」のレートを掛け合わせて「豪ドル/円」のレートが生成されているのです。

 ちなみに、このように米ドルが介在した円がらみの通貨ペアを「クロス円」と呼びます。経済ニュースでも頻繁に登場している言葉ですので、覚えておくとよいかもしれません。

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