政策不信や円高を嫌気して上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月29日 16時12分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 注目された先週末の米国での米FRB(連邦準備理事会)議長の講演も予想された通り、QE3(量的緩和)に言及することはなかったのですが、金融緩和には含みを持たせるということで、期待して買われました。日本市場では特に材料視することもなく、反応することが出来ず、円高を嫌気する動きに押されて軟調となる場面もありました。主力銘柄への買い戻しで指数を大きく押し上げる動きもみられましたが、民主党党首選の結果などを見ながら手仕舞い売りや見切り売りもみられ、上げ幅縮小、終わってみると大きな動きもなく相変らずもみ合いでの動きとなりました。

 為替に敏感になって、株式市場も米国株高にも、足元の好調な業績にも反応出来ないということなのでしょう。円高になって業績が落ち込むということが頭には刷り込まれていますが、現状では為替の影響も海外生産比率の上昇や「外―外」での取引も多いことから比較的少なくなっているものと思われます。ただ、円安になると海外で稼いだ資金が目減りすることや外貨建て資産の下落を嫌気する動きが出るので、株式市場にはマイナスということなのでしょう。それよりもやはり、円高対策が出来ないということが大きな問題ではないかと思います。

 円の流通量をどんどん増やすべきだ、今の円高は円の供給量が少ないことが問題なのだという意見もあります。確かに円高対策としてもデフレ対策としても思い切った円の流通量の増加が必要ではないかと思います。インフレの懸念が少ないのですから、日本ではもっと流通量を増やす政策をとれば、円キャリー取引なども行われるのでしょうし、海外への投資ももっと活発になるのではないかと思います。異常な低金利でも借金よりも預金を選択するという流れをどこかで断ち切ることも必要なのではないかと思います。

 現金で持っていることが金よりも商品よりも、そして株式等よりも価値があるということもやはり「異常事態」であり、ここで消費増税などが行われればさらに「お金を使う」ことをやめる人が増えてしまうのではないかと思います。お金を使わせるためにお金を使えば、お金の回転が良くなって、いろいろなところで付加価値が生まれ、お金がお金を生む形でお金が潤沢に回転を始めるということなのではないかと思います。「復興増税」ではなく、「復興割引」か何かでお金を使うようにすると良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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