転職をした人が始めの半年でするべきこと吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年08月26日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

転職者が気を付けたい3つのポイント

 ここまでを踏まえて、私の考えを述べると次のようになる。

 「転職をして新しい会社に入った以上、会社の社風や文化になじむ努力をする姿を演出する。それと並行し、配属部署の上司や発言力のある先輩らの警戒心を解き、良好な関係を作ろうとする姿勢を演出する。まずは控えめな姿勢に徹し、半年経って以降、仕事がしやすい環境を着々と作る」

 ポイントは、以下の通りだ。

1.組織や職場になじむ姿勢を周囲に見せる

2.特に上司や発言力のある先輩らの警戒心に注意する

3.良好な関係を作ろうとする姿勢を演出する

 1はビジネス書ではほとんど書かれていないが、特に転職者にとっては大切だ。役員や人事部は「転職者は、新卒者に比べると組織の文化になじめない」という意識を持っている。実際、ほとんどの会社では新卒者よりも中途採用者のほうが離職率は高い。

 やや話がそれるが、ベンチャー企業で順調に業績を上げる会社は創業の早い時期に新卒採用に踏み切っている。これは経営者からすると、リスクの高い選択である。私が観察をすると、その半数近くは数年以後にはその新卒者がある程度、育っている。定着率が中途採用よりも高いため、人も育ちやすいのだ。一方で中途採用者に頼る会社は離職率が高く、組織を作ることがなかなかできていない。業績も伸び悩む。

 転職者は色眼鏡で見られていることを認識し、組織や職場になじむ姿勢を見せることが大切だ。それが、上司や発言力のある先輩らの警戒心を解く。例えば、入社した直後に上司のところへ行き、「私を雇ってくださいまして、ありがとうございました」と言いたい。これこそ、職場になじもうとする姿勢である。

 中途採用試験の場合、その多くは現場主導型で進む。営業部員を雇うならば、そこの課長や部長たちが面接官をして合否を決める可能性が高い。ここで低い評価を受けて、内定になる可能性は相当に低い。現場の管理職が「あの女性に内定を」と言えば、人事部は受け入れてその女性に内定の連絡をするものだ。

 それならば真っ先に上司のもとへ走り、「私を雇ってくださいまして、ありがとうございました」と言えるようになりたい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.