売られすぎの反動から堅調となるも疑心暗鬼で上値も重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月23日 09時50分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8628.13▼91.11

<TOPIX>742.84▼8.85

<NYダウ>10854.65△37.00

<NASDAQ>2345.38△3.54

<NY為替>76.79△0.24

金融不安も一段落、売られすぎの反動から堅調となるも疑心暗鬼で上値も重い

 先週末までの大幅下落の反動から買い先行で始まり、一時大幅高となる場面もありました。欧州金融不安や米国の景気鈍化懸念も一段落となって買戻しを急ぐ動きもあったものと思います。週末のFRB(連邦準備理事会)議長の講演でQE3(量的緩和)が示されるのではないかとの期待も強く、値頃感からの買いも入ったものと思います。ただ、一方で景気鈍化懸念や金融不安も根強く、ドル資金の供給の滞りを気にする向きも多く、戻りも限定的となり、上値の重さが確認されると売り直されて上げ幅縮小となりました。

 センチメントの好転はみられず、堅調とはなったもののまだまだ疑心暗鬼ということのようです。FRBに対する信頼、期待はあるのでしょうが、実際にQE3が可能かどうか冷静に考えると緩和余地も限られそうだということになるのだと思います。ただ、ドル安メリットなどから業績からの下支えも期待され、QE3に対する期待が失望に変わるまでは少なくとも底堅さはみられるのだと思います。

 個別には先週末に大きく下落したHP(ヒューレット・パッカード)が大幅反発となり、景気鈍化懸念も一服となったこともあって、インテルやIBM、アップルなどのハイテク銘柄やボーイング、アルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄も高くなりました。キャタピラーはドル安一服となったこともあり、軟調となりました。バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスが大幅安、JPモルガン・チェースやシティグループも軟調となるなど金融株が安く、金先物価格が大幅高となったことからニューモント・マイニングは大幅高、パブリック・ゴールドも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は欧米株安や円高傾向にあることや外国人が引き続き売り越しと伝えられたことから売り先行となりましたが、先週末に地震の影響もあって既に売られていたこともあり、底堅さがみられ、介入期待もあって買戻しも入り堅調となる場面もありました。ただ、後場に入ってからは介入が無かったことに対する失望感もあって手仕舞い売りや見切売りが嵩み大幅安となりました。政府・金融当局の無策を懸念するかのように売り急ぐ場面もあり、主力銘柄を中心に大きな下げとなるものもみられました。

 米国市場が堅調となったことや昨日の売られすぎの反動から堅調な展開が期待されますが、為替介入が期待されているにも関わらずみられないことで上値も限定的となりそうです。欧米景気動向も懸念されるのですが、それよりもやはり円高ということに対する懸念が根強いことから、政府・金融当局の円高容認とも取られる無策に失望するむきも多いのだと思います。また、業績面では割安感も強いものの、更に円高が続くという懸念や景気鈍化懸念から先行きに対する不安も根強いということなのでしょう。それでも、売られすぎの自動車関連銘柄の反発や内需株を幕間つなぎとして物色する動きはみられるかもしれません。

 下値を試すような動きになりましたが、大震災直後の引け値ベースでの安値水準まで下がり、さすがにここからは底堅さもみられるのではないかと思います。大震災直後にはこの水準でも「割安」とされていたわけで、持ち高調整の売りが一段落となれば、すぐにでも上値の節目とみられる8800円〜900円水準までは戻すのだと思います。8600円台から下は更に円高が進むとか、欧米を中心に景気鈍化が鮮明になることがなければ売り難いのではないかと思います。

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