城:年金がカットされるくらいなら、「増税してみんなで負担しようよ」と考えている高齢者が増えていますね。
本当は彼ら高齢者にとっては所得税の税率をアップするのがいいのですが、このタイミングでは難しい。高齢者はあまり消費しないので、消費税がアップしてもそれほど痛くない。今は「社会全体で負担して、社会保障の枠組みは残しておきましょう」といった流れになっていますね。また菅首相も谷垣総裁も増税を打ち出しました。もはや完全にトレンドは変わりましたね。
赤木さんの質問に戻りますが、なぜ年金制度がなくならないかというと、強い立場の人が困るからです。
赤木:非正規雇用で働いている人の多くは、「年金なんて支払いたくない」と思っているでしょう。それでも仕方がないので支払っていますが、国民年金をもらえるようになっても満足のいく生活を送るのは難しい。
城:ですね。その人たちが将来どうなるのか、という問題が抜け落ちているんですよ。
赤木:増税が社会保障の分担に公平につながるのであればいいのですが、単に年金につぎ込まれるのであれば社会保障のモレが拡大するだけのこと。
城:いまの増税の議論を聞いている限り、制度の改定につながっていません。今のシステムをまかなうために「増税が必要」という論理ですね。非正規雇用者は貯蓄があまりないまま、基礎年金をもらうことになる。そうなるとものすごい数の生活保護者が生まれてしまう。しかしこの問題については、手つかずの状態なんですよ。
こうした状況の中で、増税をしてもどのくらいの意味があるのかと思いますね。
赤木:増税することで格差を生むようであれば、あまり意味がないですよね。
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