世界的な景気鈍化懸念や持高調整の売りに押されて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月18日 16時46分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 欧米市場よりも欧米の景気鈍化を懸念するような動きになっています。世界的な景気鈍化懸念ということなのでしょうが、特に日本では輸出企業の採算悪化懸念が根強く「景気が悪い」といわれると輸出企業等を中心に売り急ぐことになってしまうのでしょう。外国人も引き続き売り越し基調と伝えられることも見切り売りを急ぐ要因となっているのでしょうが、買い気の乏しい中では一方向に振れ易いということなのでしょう。

 特に売り材料が出たということでもないのにずるずると値を下げる銘柄が多くなっています。「世界的な景気鈍化懸念から売られた」と解説されていますが、世界的な景気鈍化を懸念されるような指標が出たわけでもなく、強いていうならば昨日発表された半導体製造装置のBBレシオが2カ月連続で悪化したということや米国のデルコンピューターの業績見通しが芳しくなかったということではないかと思います。もちろん、パソコンの需要や半導体の需要が落ち込むということはこれまでの世界経済の拡大スピードが鈍化したということになるのかもしれませんが、それにしても悲観的すぎるのではないかと思います。

 お客様の持ち株診断などもはじめているのですが、業績面からみて割安感が強い銘柄を高い値段で買ったまま保有し続けているというケースが多くなっています。いわゆる材料株といわれるような銘柄を高値で買ってしまったのであれば、買い値まで戻る可能性は非常に低く、またそうした銘柄が戻るまで待つよりも、割安銘柄に乗り換えた方が相場全体が戻るところではしっかりと戻ると思うので、あっさりと乗り換えることが出来るのですが、「良い銘柄」を比較的安いところで買ったにも関わらずさらに売られているケースなどですと持っているということしかできず、二進も三進もいかずに相場の戻りを待つだけということになりかねません。

 そうした中で、銘柄を組み直してみたり、乗り換えのタイミングを計るということになるのでしょう。また、塩漬けとなった株を担保に先物などでカバーするという手もあるかもしれません。そうしたご相談などにもいくらでも応じていますので、清水宛てこのメール宛てに返信いただければ、ご連絡させていただきます。冴えない市場ですが、いつまでも冴えない市場であり続けるということもないと思われますし、逆に言えば割安感が強い銘柄がそれだけ多いということだと思います。「大相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えて行く」ものだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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