欧州金融不安や景気鈍化懸念から売られて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月17日 08時33分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9107.43△21.02

<TOPIX>779.06△1.94

<NYダウ>11405.93▼76.97

<NASDAQ>2523.45▼31.75

<NY為替>76.81

予想を上回る経済指標も欧州金融不安や景気鈍化懸念から売られて軟調な展開

 朝方発表された鉱工業生産指数は予想を上回り、住宅着工件数も予想通りとなったのですが、ドイツのGDP(国内総生産)の伸びが予想を下回ったことや独仏首脳会談も金融不安や景気鈍化懸念を打ち消すには不十分ということで売り材料となり、一時大きく売られる場面もありました。ただ、前日までの急反発の反動もあって手仕舞い売りなども多く、指数も大きく落ち込む場面もあったのですが、目先的な手仕舞い売りが一巡となると好決算を発表する銘柄も多く、押し目買いなどもみられ、ナスダック指数は大幅安となったものの底堅い印象でした。

 欧州での景気鈍化などが懸念されますが、米国では経済指標は比較的堅調、個別企業の業績も比較的好調なものが多く、懸念が先行しているような感じです。欧州の騒ぎに一緒になって騒いで見るものの冷静になって足元を見直してみると、案外底堅く堅調な景気動向ということになるのでしょう。ただ、先行きに対する杞憂とも思える漠然とした不安は根強く、一気にセンチメントが上向くということでもないのだと思います。

 個別には予想を上回る、決算を発表したウォルマートが大幅高、好調な決算と通期見通しの引き上げを発表したホーム・デポも大幅高となりました。欧州での景気鈍化懸念が世界的な景気鈍化につながるとしてキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーターなども利益確定売りも交えて売られ、欧州での金融不安もあり、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も軟調となりました。グーグルやノキアが大幅安となり、インテルやIBMも軟調となるなどM&A(合併・買収)に絡んで買われたハイテク銘柄も軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅高となったことから買い先行となりましたが、円高気味ということや増税懸念などもあって上値の重い展開となりました。足元の景気鈍化懸念や金融不安は薄れたものの、外国人が売り越し基調ということや企業業績の先行きに対しても懸念が根強く、最後まで買い切れないということなのでしょう。腰の据わった買い方もみられず、上値の重さが目立ちました。

 米国市場が軟調となったことから日本市場も冴えない展開となりそうですが昨日の相場で既に米国株の下落を織り込んでいたかのような反応であり、底堅さもみられるものと思います。欧米での景気鈍化懸念も根強く、日本だけが景気の拡大が期待できるということにはならず、為替も落ち着いているのですが、円安に振れるということでもなく特に材料視されないまでも相場を押し上げる要因とはならないと思います。買戻し一巡感が出ているものも多く、しっかりと戻った銘柄から手仕舞い売りや見切売りに押されることになるのでしょう。

 昨日の相場でも一気に9200円〜300円水準の節目を目指す動きにならなかったことで、やはり8800円〜900円水準での底堅さを確認するような場面もまだみられるのだと思います。上値の節目、下値の節目を確かめながらのもみ合いが続くのでしょう。為替が円安方向に振れるような展開にならないと9200円〜300円水準を抜けないのでしょうし、逆にここから円高が進むようでも「日本買い」の流れで株式市場も底堅くなってくるのだと思います。

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