「MBA取得で違う職種にチャレンジできた」――普通の26歳がコロンビア留学で得たもの活躍するMBAホルダーたち(3/3 ページ)

» 2011年08月16日 11時00分 公開
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留学によって、新しい人間関係を作っていく幅が飛躍的に広がった

――ビジネススクールで勉強したことで何を得ましたか?

加藤 友達だと思いますね。30歳近くになって、仕事以外の場で新しい友達ができる機会というのは、それまであまり想像できなかったのですが、コロンビアビジネススクールの日本人同士はとても仲が良かったのです。私はそれはとても良いことだと思いました。

 英語を勉強するために日本人とは付き合わないというポリシーの方もいて、それはそれで結構なことだと思います。ただ私は、国籍に関係なく、ビジネススクールに選ばれるだけのクオリティを持った方と、仕事を離れて深く付き合うことができることは無形の財産だと思っています。留学をしたことで、新しい人間関係を作っていく幅が大きく広がりました。それはもう、本当に飛躍的に広がったと思います。

――卒業後、米国で就職するという選択肢は考えませんでしたか?

加藤 米国での就職も考えましたが、あまり日本を離れてとか、英語のために米国に残るといったこだわりはありませんでした。その時、最も自分にとって良さそうな選択肢として経営の最前線に触れることのできる日本での世界的コンサルティング会社の日本法人を選びました。金融機関でのサマーインターンを通じて、経営ということに関心を持ちましたので、経営の最前線に触れることのできるコンサルティング会社に興味がありました。

――以前のお仕事とはまったく異なる業種に入ってみて、戸惑いやご苦労はありましたか?

加藤 コンサルティング会社での戸惑いは、ビジネススクール以上にありました。仕事のペースの速さとか、求められるクオリティの高さが、以前にいた会社とはまったく違いましたから。

 最初はとにかく1つ1つやっていくしかなかったですね。結果として、考える癖が付いていなかったところに、考える癖を付けてくれたという点で、コンサルティング会社での経験は非常に良かったですね。

――「考える癖」ですか?

加藤 コンサルティング会社では仮説思考と言いまして、将来何が起こり得るかという仮説を机の上で回していきます。どういうことが起こり得るか、その時にはこういう対応をしていけば良い、といったことを次々と考えていくわけですね。そのシミュレーションをより速く、深く行うには慣れが必要で、そのトレーニングには非常に良いところでしたね。

MBAを取得していなかったら、違う職種にチャレンジする機会はなかった

――MBAは実ビジネスの中でどのように役立っているかと実感しますか?

加藤 ビジネススクールで習ったことで、直接的に役に立っていることは、それほど多くない感じもします。ただ1つ、コーポレートファイナンスの知識は、投資の仕事をする時には非常に役に立っていますね。企業金融の基礎がないと、企業価値の考え方などを理解するのは辛いものがあると思います。

 実際にMBAで一番役に立っているのは、人とのつながりを作るきっかけになることですね。コロンビアの同級生だけでなく、同じころに西海岸にいた人や、少し後輩にあたる人といった関係でつながりが増えていきます。やはり人の輪というのは、誰々を知っているかといった共通項で広がっていきますから、お互いの共通項がまったくない人と、同じ時代のニューヨークという場所を共有できる人とでは大きな違いがありますよね。

――これからMBAを取得しようとしている方々にアドバイスをいただけますか。

加藤 “Japan as No.1”の時代の後、日本は経済的に坂を転げ落ちるように低迷期に入り、日本に対する関心というのは、ずっと低くなっていきました。それは今に至っていると思います。日本に関心がない中で海外のビジネススクールに行かれた方や、これから行こうとされる方は、恐らく私たち以上に優秀なんだと思います。そういう資質の高い方がMBAで磨かれて社会に出てくるというのは、とても良いことだと思います。

 そして、やはり人とのつながりが一番の財産になるので、常になるべく多くの方々と知り合い、話をし、友達を作ることに重きを置いた方が良いですよ、と申し上げたいですね。せっかくの機会にずっと家にこもって宿題ばかりやっているというのはもったいないと思います。

――MBAを取得したことによって、自分の人生がどのくらい変わったか。0から5で表現すると?

加藤 4くらいですね。留学してMBAを取得していなかったら、それまでと違う職種にチャレンジする機会はなかったと思います。コンサルティングに行くこともなかったし、投資の世界に来ることもなかった。MBAを取得したことは、素直に大正解だったと思います。

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